T:交流会
1.日時:2008年3月1日(土) 午後6時30分〜8時45分
(1)「元町公園と小学校のその彼の近況報告」 報告者:ぱばっと会議@元町公園 鹿野さん
要旨: 最初に、元町公園問題とはどういう問題かについて報告があった。次いで、近況報告が話された。
@ 2007年夏、都市計画審議会で文京区の計画は事実上差し戻された。このことが持つ意義は大変大きなものがある。通常、行政が都市計画の変更を
審議会に掛けた場合、十中八九、原案通り採決される。いわば審議会は行政が準備したものを採決して決定する機関といってよい。それが差し戻しに
なるということは、恐らく全国で初めてのことではないか。
A これを受けて、文京区は体育館の移転先をどうするかについて審議会をもち、旧4中跡地にするとの結論に達した。成澤区長は区議会でもこの結論
を尊重すると述べているし、19年度予算に計上されていた元町小学校解体費を執行しないと言明しているし、20年度予算にも計上していない。従って、
当面すぐに元町公園に対して何かをするということは免れたといってよく、私たち、幅い区民による運動は目的を達成したと言える。
B これに関連して、公にされていないことだが「ふるさと歴史館便り」訴訟の判決が去る1月25日に出たのて報告しておきたい。この訴訟は、区が
毎年発行する「便り」に元町公園の紹介をしてきた。昨年度の「便り」でも例年通り掲載していたものをあえて削除し、新たに印刷し直して発行した。
これは区民の税金を無駄遣いしたことなので、返還を要求したが埒が明かなかったため訴訟に持ち込んだもの。結果は、棄却されて敗訴し、司法の世界
では社会正義はなかなか中味が問われないんだなということを改めて知ったことと、行政に対して住民のカを知らせたという点で、私たちが得た成長は
大きなものがあったと思っている。
C 今後どうするのかという課題についてだが、元町公園と元町小学校再生に向けての第2章というか第2ラウンドが始まるのだという認識を持っている。
差し当たり、3月9日(日)に公園で『元町みちくさ花家族』というイベントを東京都公園協会の助成等を得て開き外堀通りに花壇をつくるプロジェクト
を立ち上げる。そうした場所で皆さんとよく話し合って方策を考えていくことにしている。
要旨
@ 冒頭、湯立て坂マンション問題とはについての説明があった。関東大震災にもビクともせず、重要文化財にも指定された立派な門、銅がねで葺かれた
建物(通称あかがね御殿の謂れ)に近接する土地に野村不動産が地上14階、地下2階建てのマンションを建設しようとしていることに対し、地域住民とし
て、景観が損なわれる点、植栽を中心に自然が破壊される点等から反対運動を展開している問題である。
A 環境を守ろうとする人たちで「環境を守る会」が結成され、署名活動をし文京区長に提出した。一方、建物がすばらしいということで建築学会、建築
についての有識者の方々も動かれて、1万名以上の署名を集め文化庁に嘆願書に添えて提出したりもしている。
B これに対し、野村不動産側は住民説明会を開いたものの、非常に限られた利害関係者、人数制限をしたりして多くの住民の納得を得られぬままに推移
してきている。そうした中で、住民と野村不動産との間に文京区が入って、2006年に6回会合が持たれたが歩み寄りができないまま来た。その後07年
12月に入って野村不動産は工事を始める旨近隣住民に通知して来た。これに対し、住民側としては、まだ問題は解決していない中での工事は許されるべき
でないとして、文京区長を通じ中止を申し入れた。07年に入ってからは−度も話し合いが行われずに終わった。一方、野村不動産はあかがね御殿所有者
大谷家と話し合いを持つているが、進展を見ず歩み寄る余地がないままで推移している。
C その後、08年1月にようやく第7回目の話し合いが持たれ、2月に第8回目がもたれたが、2階分低くするとか耐震構造を強化したとか、外壁部分の
植栽を残すように工夫をしたとか提案してきたが、私たちが求めていることが満たされていないので受け入れを拒んでいる。私たちの基本的要求は、低層化
もさることだが、データの開示にある。とくに地下水についてのデータを求めているが、何の開示もしていない。地下水の問題は周囲の自然を守る上で最も
大切な問題として引き続き求めていくことにしている。
D こういう運動はより多くの人にまず知ってもらうことがポイントとなるということで、いろいろイベントを組んで楽しくやってきている。シンポジウム、
勉強強化のほか、ヒューマン・チェーンということで周囲1kmを人の環で囲んで行進したり、近隣のお宅を会場に音楽会、落語の会、餅つき大会などもして
いる。中でも、広島県広島市の市長をお招きしての勉強会の企画では、残念ながら市長にはお出まし願えなかったが、ビデオメッセージを寄せてくださり、
その中で励ましとともに、“自分たちの町は自分たちで守らねばならな”と示唆してくださったのが印象深い。国立市の「景観ネット」と連携したりマス・
メディアにも取り上げられるようにしながら、アノ手コノ手で少しずつ世論を動かしていくことが大切だと考えている。最近のことだが、文京区の景観賞に、
この湯立て坂がえらばれた。そういうすばらしい環境を守りたい。
要旨
@ 問題の所在と住民が要求する根拠について鋭明・報告が行われた。歴史的にも文化的にも由緒ある地域にニューヨーク市のような23階建ての超高層マン
ションは明らかに景観を損ねる。そればかりでなく住民の生活にも大きな支障をきたす。建てることに全面反対しているわけではなく、当初の14〜15階建
てにとどめるべきだ。
A 反対運動の推進状況については、本郷5丁目朝会をはじめ3町会で実行委員会を構成、宣伝活動、ビラの配布と署名活動、区議会への請願」野村不動産への
対応、マスコミへの働きかけ、勉強会・講演会の企画実施等々を進めている。
B 文京区の対応はどうだったかについては、湯島・本郷36町会をバックに区に要請活動を行い、成澤区長は前向きに対応してくれている。請願も受理される
とともに、区長から野村不動産に対して住民の声も聴き再検討しなさいと口頭で伝えてもらったりしている。また、区長から野村不動産宛に要請文事も出してく
れてもいる。
C 運動の現状については、文京区議会、与党区議6名が仲立ちして話し合いが持たれ、23階案から21階案へといった案が提起されたと聞いている。これに
対し当会では問題外と受け止め、設計士に依頼し当会なりの独自建設プランを野村に提示したが、10日間が経ったものいまだ回答に接していない。なぜこう
なったかというと、野村とすれば金が儲かったらよいわけで、最近市谷での売買事例として3億円の部屋が即日に完売したのに味を占め、当初のワンルーム形式の
14〜15階建てでなく、面積を広げ赤門とか周辺の景観を売り物にして3億円で売れるものを20部屋、2億円で売れるものを20部屋、1億円で・・・・と
いったように値上がりに付け込んで考えているものだから、中々譲らない。
D 今後の見通しとしては、区長をはじめ、区議さらには鳩山、深谷両議員にも助力をお願いしているので、まったく譲らないという訳には行かないと思っているが、
時間がかかりそうだし、全く先行き不透明だ。本郷通りの高さ制限を条例化しようという方向で動いている。
要旨
@ 小日向プロジェクトとは、春日通りをはさんでSANTOKU小石川店と反対側の、以前、文京信用金庫の本店(その後、朝日信用金庫小石川支店)があった土地を
中心とするエリアに24階建てのマンションを建設する計画のこと。デベロッパーは東急である。
A 他の事例を違って特徴的なことは、デベロッパーが空中権を利用し「連坦」という制度(注)を使って高層建築を建てようとしていること。つまり、建設区域
がA=レクサスという3階建ての自動車ディーラーの土地とその裏側の空き地のB、として最も広い元朝日信金の敷地をCとして3つに分かれており、A+Bの空中
権をCに集中して24階という高層ビルを建てようとしていることにある。
(注)「連坦建築物設計制度j(建築基準法第52条の2)。通称「連坦」といわれているこの制度は、既存の建築物の未利用容積率を隣接地へと移転できる
というものである。
B 現状ほ、SANTOKU上階に住む住民と隣接マンション住民の有志であの土地には高くても10数階の建物しか建てられないとし住民税明会で強く要望したが、東急側
は計画通り実施すると譲らない。そのため東京都に計画の見直しを指示して欲しい旨の審査請求を求める書面を提出し受理された。今後は「連坦」制度の適用、解釈
をめぐって中高層建築物の建築にかかわる紛争の斡旋、調停という方向へ進んでいくことになると見込んでいる。
要旨
@ 最初に多くの方々、元町公園関係者の運動に勇気付けられて運動が成功裡に推移したことに対するお礼が述べられた。次いで、新大塚公園問題とはどういう問題
だったのか。住民がどう対処したのか。その結果、当面どのように決着を見たのかについてプロジェクターによるスライドを活用しながら説明、報告された。
A 問題の核心がどこにあったかという点について補足された。
a.文京区の小・中学校の統廃合問題があった。
B 「守る会」は、運動がこれで全て終わったとは考えていないことも報告された。5中跡地に5中と7中を統合した新たな統合校が出来るとして、そのそばに
「教育センター」が予算の関係ですでに工事に着工し、かなり工事が進行している。統合校は7中にグランドを持つことになるのだが、それで果たしてほんとうに
こどもたちのためになるのか、それに対してどう対処していくべきなのかと言った点などである。
C 報告を終わるに当たって、「守る会」代表岡野さんからお礼の挨拶があった。
・5中7中の統合校に関連して200メートル離れている7中に通うことの是非は検討されたのか。
大村さんが今回の交流会のポイントを簡単に整理報告、今後、どういう問題が喫緊の、また、多くの人の関心事かをよく話し合いテーマを定めて進めていきたい旨を
述べて閉会した。( 文責:橋本)
第1回《お結びネット》交流会記録
2.会場:区民センター2階 2A会議室
3.参加者:48名
4.主旨:区内各地で起きている高層マンション・ビル建設、環境、景観の悪化に対する区民運動の状況・課題・問題点を交流する。
5.経過
(1)開会挨拶及び司会進行:若月さんが担当、進行した。
(2)経過報告:橋本が資料に沿って要点を報告した。
(3)各地域の区民運動からの報告:以下の5氏から報告願った。
(4)報告後、質疑応答・参加者よりの発言の場を設けた。
(5)まとめ及び閉会挨拶:大村さんが行った。6.各地域・グループからの報告(要旨)
(2)「湯立て坂脇マンション問題について」 報告者:杜史(とし)を育む会・湯立て坂 池田さん
(3)「本郷赤門脇マンション問題こついて」 報告者:本郷赤門周辺の景観を守る会 松本さん
(4)「小日向プロジェクトについて」 報告者:春日通りの街並みと生活兼境を考える会 坂口さん
(5)「新大塚公園の2年間」 報告者:新大塚公園を守る会 小川さん
b.それとの関連で町づくりのなかの防災拠点の確保の問題もリンクしていた。さらに
c.公園をなくす、移転するという問題があった。
これらの3点は総合的につながりのある問題として捉えられなければならなかったのに、文京区はビジョンはおろか深い考えを持たずに泥縄式に事を運ぼうとした。
例を挙げれば、公園問題を教育委員会マターで運ぼうとしたこと、住民から追及されるに従い「兼用工作物」論など出して来たことなどによく表われていると言えよう。7.質疑応答・会場参加者の方々より発音(要旨 発音順)
・駒込病院のPFI方式による民間委託問題に対して支援と協力をお願いしたい。
・(その発言の終了を待たずに)マンション・環境問題についての話合いの時にそういう発言はなじまない。
・「お結びの会」は環境・景観問題だけの会として立ち上げられたのか。
・マンション問題だけになっている感じ。もっと幅広く考えて行った方がよい。
・駒込病院問題も区民生活とって大変重要な問題で取り上げられてよい。
・政治的な方向へもっていこうと考えているのではないか。
・文京区に生じている問題点は数多い。皆でいろいろなことを一緒にやっていく楽しさも備えた会であって欲しい。
・関口では、巨木を中心に樹木、自然林、自然環境を残しながら高層建築を進めてもらう運動が進められている。いろいろ教えて欲しいし、支援・協力をお願いしたい。
・「小・中学校の統合問題」が大事な段階にさしかかっているのに、全く問題とされないのはなぜなのか。
・マンション問題が高さ制限の視点から問題とされているが、防災トイレの設置の義務付けといった点からも要望をしていくべきだ。
・区民が市民運動を進めていくための拠点作りも区に要望していってはどうか。
・メーリング・リストを新たに更新したが、登録を希望される方は山岡宛にご連絡ください。8.まとめ及び閉会挨拶
U:講演会
(1)第一回講演会
| 日 時 | 2008年6月12日(木)、18:30〜21:00 |
| 会 場 | 文京区民センター、 2階2A |
| 内 容 | 「市民自治の可能性をさぐる(講演の骨子、配布チラシ)」 |
| 講 師 | 福嶋 浩彦氏(元我孫子市長) |
福嶋浩彦氏のプロフィール
中央学院大学客員教授。東京財団上席研究員。1956年鳥取県生まれ。83年我孫子市議会議員。
95年38歳で我孫子市長に当選、2007年1月までの連続3期12年務める。この間、市の補助金の市民審査、
市職員l採用での民間試験委員、常設型市民投票条例、コミュニティビジネスの育成、市民債lこよる
自然環境の保全など、徹底した市民参加型の行政運営で注目された。
著書:『青年市長ニッポンの新世紀』(共著、河出書房新社・2000年)、『市民自治の可能性〜NPOと行政 我孫子市の試み〜』(ぎょうせい・2005年)。
<講演の概要>
1. 自治・分権の視点
まず、市民がとるべき行動の原則を述べる。それは、自分でできることは自立して自らの責任と権限で行い、できないことは市民のコントロールのもとで行政に行わせることである。そして、行政のあり方は、まず、市民に一番近い基礎自治体ができることを行い、基礎自治体ができないことを広域自治体が行い、両自治体ができないことを国が行う。これを近接性の原理、補完性の原理という。
健全な市民社会を実現するには、自分達の力で地域を創るという永遠の目標に向かって努力を継続することが重要である。市民自治あるいは地方分権は、中央集権か地方分権かという選択の問題として捉えられやすいが、これは選択の問題ではなく、理想的な市民社会を構築するための原理・原則である。市民のために働くべき行政のレベルがなぜ国からではなく、基礎自治体から始まるか。それは、基礎自治体が市民に最も近くてコントロールされやすい組織だからであり、もう一つ、市民の参加を得た行政展開が最も現実的に可能な組織だからである。
地方分権のテーマで議論される権限の「移譲」とは、主権者がある組織に委ねていた権限を他の組織に移すことであり、上位の組織が下位の組織に権限を「委譲」することではない。現実に最も強い権限を行使している組織は国であるが、権限移譲とは、国が権限を「委譲」するのではなく、主権者が権限を「移譲」するのである。
2. 地方自治の本旨と市民の直接参加
市民自治の原点は、直接民主主義である。しかし、近代社会において、何万人、何十万人の市民による直接民主制は現実的でないので、基礎自治体においても国や県と同様に間接民主制を採っている。この直接民主制と間接民主制を上手に並立させることが重要である。
地方自治に関して日本国憲法では、第8章をこれに充てて、冒頭の第92条で「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と規定している。ここで言う「地方自治の本旨」とは、英国で発達したと言われる住民自治の思想と、ドイツで発達したと言われる団体自治の思想を両輪とする概念体系である。
この住民自治、即ち直接民主制と、団体自治、即ち間接民主制を並立させる概念体系は、統治システムとしての国あるいは国政の考え方とは明らかに異なる。このため、地方自治制度には、国政レベルとは異なり、直接民主制を体現する制度設計が施されている。例えばそれは首長の直接選挙であり、首長のリコール権と議会解散権の市民への付与である。また、条例の直接請求権(首長に議会への提案を行う義務づけ)、あるいは住民監査請求権(さらに、直接利害関係の有無を問わない住民訴訟権)の付与である。しかし、こうした制度設計以上に重要なことは、日常的な市民の直接参加である。
3. 日常的な市民の直接参加による緊張感の保持
地方自治への日常的な市民の直接参加は、多くの場合、基礎自治体の計画づくりへの公募委員としての直接参加、あるいはタウンミーティング・パブリックコメント等での意見表示の形で行われる。我孫子市の場合、市民参加あるいは協働協治の質をさらに高めるため、市内に残存するあらゆる既得権を排除すべく、補助金を一旦全て廃止し、市民参加により新たにゼロから制度構築を行った。そして、全ての補助金は最長3年で全て白紙に戻し、有効性・必要性を審査するシステムを導入した。
例えば、医師会への補助金は、市民審査の結果、不採択となった。勿論、市民の健康診断や休日診療など、医師会活動による市民への恩恵は十分に理解されている。しかし、裕福な会員を多数抱える医師会に対して、財政的に窮乏している市が助成する必要性があるのかという点で、市民の判断が下された。あるいは、補助金とは別の案件で、職員採用にあたっても、コネ採用などの既得権を排除すべく、従来は市の幹部が実施していた人物採用試験に、民間試験員を充てる改革を行った。注意すべきことは、これら市民の参加を得て審査や試験が行われようとも、最終決定権は間接民主制のもとで首長と議会にあり、判断結果がもたらす最終責任は首長と議会がとると言うことである。
このような形で市民による日常的な直接参加の機会を作ることにより、役所の組織に健全な緊張感が保持されることになった。
4. 行政組織と共に議会の能力を向上させる
団体自治機能の主体としての地方自治体組織は、言うまでもなく首長(役所)と議会の二元代表制である。市民に対する説明責任は、首長だけにあるのではなく、議会にも当然存在する。しかし、通常は、議員の多くは市民への説明責任を首長に押しつけようとする傾向がある。この構造にメスを入れねば、真の団体自治は機能しない。
我孫子市では、2006年度予算から、政策的事業を中心に予算編成の過程を全て市民に公開した。公開の方法はホームページへのアップと行政センターでの閲覧によって行った。
予算編成過程では、役所の各課から事業予算の要求が行われ、それを企画調整室が査定を2回行い、あるものは認め、あるものは減額査定し、あるものは却下する。さらに、首長を含む理事者が同様に査定を2回行う。この過程をつまびらかにすることにより、市民は、自分が関心を寄せる予算がどの段階でどのような査定を受けたかを、理由と共に知ることとなる。さらに副次的な効果は、市民は、自分の要望の成否だけではなく、他の要望も知ることとなり、役所における両者の優先順位を認識することにより、自治体のまちづくりの方針、全体的な方向性をつかむことができる。
我孫子市ではここまでであるが、北海道の栗山町などでは、このような査定を経て首長から提出された予算案を、予算議決権に基づいて議決した議会にも説明責任を求めている。つまり、条例や予算について、担当地域を決めて議員が市民に説明を行うのである。
5. 議会活動への市民の直接参加
栗山町の議員による条例や予算の市民への説明は、いわゆる議員の後援会や支持者への説明ではない。自分と直接利害関係のない市民に対して、議会を代表して説明するのであるから、思わぬ質問攻めにあうこともあり、議員は自ずと勉強を余儀なくされる。また、議会での審議において、市民を参考人として参加させ、意見を述べさせることもできる。地方議会には公聴会という制度もある。このようにして、議会活動への市民の日常的な直接参加を促すことにより、後援会や支持者の声を拾ういわゆる議員活動とは異なった、議員と市民との間の健全な緊張関係が保持され、このことが議会の能力を飛躍的に向上させるのである。
6. 民と官の連携を通じた信頼感の醸成
我孫子市の地方自治がこのような進化を遂げたきっかけとして、市内に継承されてきた負の遺産に対する取り組みがある。それは、日本一水が汚染されている湖沼という不名誉な記録を1974年から2001年まで27年間も塗り替えてきた、手賀沼の水質浄化運動がある。これは、アオコの発生などの水質汚染に対処するため、周辺住民による無リン洗剤の使用をいち早く普及させ、その後日本でも有数の高い環境意識を住民たちが有するようになった琵琶湖の事例と共通するものがある。
また、湖沼に絡む事案として特筆すべきものに、古利根沼の保全のため市が底地を買い取る事態となった際に行った市民債の発行による資金調達の事例があげられる。通常、市民債の利回りは国債よりも有利となるように設定されるが、市民債の発行にかかる事務手続きなどを勘案すると、金融機関からの資金調達よりも割高となる可能性がある。財政にゆとりのある自治体ならば眼をつぶることができるが、我孫子市には余裕がなかった。そこで、金融機関からの資金調達コストを計算し、それよりも割安となる水準に利率を定めて市民債を発行した。買い手がつくかどうかの不安はあったが、底地の買取費用4億3千万円のうち2億円を市民債で賄うこととして公募を行った結果、公募額をはるかに上回る10億3千万円分の応募があって完売した。市立小中学校の耐震工事に際しても、同様の市民債を発行して資金調達を試みたところ、5〜6倍の応募があり、抽選によって完売した。
行政や議会活動への市民の日常的な直接参加は、双方にとって一見手間のかかる面倒な作業に見えるが、その過程を通じて醸成された両者の信頼感は、地方自治に様々な可能性を与えてくれる。首長が行政への市民の直接参加を推進すると、「これは議会軽視である」との批判が口にされることがあるが、これは誤りである。議会も民意を代表しているが、首長も民意を代表しているのであり、市民の直截参加による民意の把握を両者が競うことが本来の姿であろう。
これらの市民自治のシステムが正常に機能する姿が地方自治の理想である。そして、このようなシステムのもとでも、行政や議会の判断が民意と異なると市民が感じたときの最後の安全装置として、
常設型の住民投票制度を整備することが望ましい。(文責:山岡)
(2)第二回講演会
| 日 時 | 2008年9月3日(木)、18:30〜20:45 |
| 会 場 | 文京区民センター、 2階2A |
| 内 容 | 「大地震直後のトイレ事情(配布チラシ)」 |
| 講 師 | 上 幸雄氏(日本トイレ研究所代表理事)及び大原氏(文京区役所 防災課) |
上 幸雄氏のプロフィール
(1945年生 小平市在住)。早稲田大学教育学部地理歴史専修入学。探検部に所属し、早大ナイル河全域踏査隊に参加。卒業後商社に入り、アラスカ州、ミシガン州で漁業に従事、 アメリカ五大湖の環境汚染を知る。帰国後、環境問題や百貨事典の編集などを経て、1984年から地域交流センター事務局長。各地のまちづくりやごみ、河川環境、大気汚染など環境 問題に取り組む。1985年に日本トイレ協会の設立に加わり、トイレの改善に関わるシンポジウムや調査に関わり、02年から理事長に就任。03年にはNPO法人“山のECOH”を設立し、 代表理事に就任。山・自然環境の調査や保全活動に関わる。2007年4月、サイバー大学世界遺産学部教授(自然遺産学担当)に就任。技術士(環境部門) 主な著作:●「ウンチとオシッコはどこへ行く」 不空社、 ●「災害時の水利用」 (社)空気調和・衛星工学会 共著、●「生涯学習としての環境教育」 国土社 共著、●「観光地づくりの実践」 (社)日本観光協会 共著、 ●「どうする山のトイレ・ゴミ」 大月書店 共著
<講演の概要(準備中)>