第9回《お結びネット》:交流会

1. 日時:2010年7月13日(火)、18:30〜20:30
2.会場:アカデミー茗台 7階 ボランテイアルーム
3.参加者:約23名
4.内容:「今 文京区でおきている〜いろいろな問題について」

                                    司 会  藤原美佐子さん

@ 礫川交流館の建て替え問題                   礫川交流館を考える会 青柳さん
 「交流館」は、今年から「地域活動センター」に改称された。「礫川交流館を考える会」は、昨年、文京区の企画政策部と2度話し合いをした。 地域の利用団体には建て替え等の希望はあっても、「考える会」の活動は本来区のやるべきことという考えもあってか、余り広がらなかった。このため、 礫川地域住民を対象に新聞“つぶて”を創刊し、500部を配布した。創刊号では、入口が裏側にあること、集会室は2階の和室1室のみであること、 エレベーターがなく階段が急であることなど礫川交流館の使いづらさを訴えた。第2号では、近況の他題名“つぶて(礫)”の由来等について解説した。 今年の第3回目の区との懇談会(6月8日)では、隣接の空き地(発掘品の保管倉庫)の活用についても質問した。なお、礫川交流館の建て替えは、 昨年決定したが、建設開始時期については、未定である。大原地域活動センターは区の「千石1丁目用地等の活用について」の(中間まとめ)では第2期工事として建設スケジュール が発表された。向丘のセンターは六中の耐震工事合わせて実施し、湯島のセンターは四中に出来る体育館に複合的に設置されることが決定している。

A 湯立坂マンション問題・文化財(銅御殿)      杜史(とし)を育む会・湯立坂  広田さん
  このマンション建設が、重要文化財である銅御殿に悪影響を与えるのではないかという問題に関しては、事業者(野村不動産) との話し合いの他、国会議員、副大臣への陳情に至るまで、できることは全てやったが埒が明かず工事は進んでおり、現在3階まで立ち上がっている。 このため、最後の手段として、5月20日に住民と大谷美術館で2件の訴訟を起こした。1件目は、住民と大谷美術館が文京区と確認審査機関 を相手取ったもので、許可なしでの開発行為をとがめて、建築確認の取消しを求めたものである。2件目は、住民が文化庁を相手にした、 許可なしでの着工をとがめた環境保全措置命令訴訟である。これは、文化財保護法に基づく重要文化財保存のための措置を求める初の訴訟である。 今日、東京地裁で第一回の裁判があり、原告を代表して当会のAさんが大変素晴らしい意見陳述を行なった。傍聴席も満席であった。今後も皆様の傍聴を期待したい。 文化庁を相手にした第1回の裁判は、9月2日(11:00〜、地裁522号法廷)に、文京区関連の第2回が9月8日(11:30〜、地裁705号法廷)で行われるので傍聴に来てほしい。

  B 春日・後楽園駅前地区再開発               文京区の環境を守る会   藤原さん
 春日・後楽園駅前地区の市街地再開発については、現在準備組合が事業認可を取るために頑張っている段階である。準備組合内部で必要な70%合意を取り付けるために 協議中とのことである。これ以外の情報は、一切くれない。区民と相談しながら情報を出すと約束しているので、出せる段階になったら区のホームページ等で公表すると のことであるが、内部でもめているとのうわさもある。グリーンバレーの設計が若干良い方向で変更(排気ダクトが公開空地に含まれないこととの関連で広くなる)にな るとの話はある。なお、事業組合は今年の秋に出来るとのうわさがある。都市計画審議会に出された「事業が成り立つためには141mという高さがどうしても必要」という 説明の根拠となる情報を区が不存在として公開しないので、情報公開制度及び個人情報保護制度運営審議会に制度運営への疑義を文書(6/2、建議のお願い)で 申し立てていたが、6/10に口頭で文書不受理の回答があった。このため、 6/11に「建議のお願い」不受理の通知に関する申入書を送付し、審議会会長名の文書で不受理の返答を求めている。区の不受理の方針に変更はない模様であるがまだ回答はない。

C 順天堂キャンパス・ホスピタル再編計画       順天堂再編事業を考える会   福嶋さん
 この順天堂キャンパス再編計画(100mの超高層ビル建設)は、昨年の10月中頃に近隣(50m)のマンションの住人からはじめて広報された。町会は、 順天堂側からの具体案が示されていない等の理由で、2Hの住民には、バラバラにしか周知していなかった。 これまでに順天堂側と6回の話し合いの場を持った。 6回目には順天堂の新井一院長の出席も得た(速報参照)。院長自身が、日影は健康に重篤な影響を及ぼさない、大きな健康被害につながることはないと明言した。 計画建物が、広範囲の住民に与える日影に対して、迷惑をかけることを承知しながらも、日照への配慮が全くない。院長の発言に、住民側は、不信感と反発をさらに強めた。順天堂の小林局長は、 環境問題等についての、日影、風害、近隣に対する環境影響、被害等の問題に対する認識は皆無に等しく、ご理解くださいと繰り返すのみである。住民へ真摯に回答する姿勢がなく、仁  を学是とする学校法人として資質が問われている。第6回の説明会をもって終了し、個別案件には戸別に切り替えたいなどと、戸別切り崩しをはかろうという本音を見せた。 成立していない説明会は単なる行政への既成事実作りであり、意見交換会にさえなっていない。議事録には空欄が多く、未回答事項が多く、全体で出た意見や、質問、要望を無視しているため、 都度行政に陳情に行くこと毎回である。 我々としては、断固反対し、説明会開催、計画変更を訴える、署名活動を始めた。皆様方のご協力のあり、第1次、第2次合わせて1,007名の署名が集まった。これに関して、 文京区都市計画部の指導課長からは、別紙のような回答書が昨日来ている。7月下旬には、第7回の説明会が予定されている。100M高層病棟建設による北側住民の日影、風害、 救急車出入口、駐車場問題など、さまざまな問題が山積している。 再編計画の全体像も含めて、更なる追加も懸念されている。昨年取得したセンチュリータワーも学校としても病院としても使えないなどと住民一部に最近施主が吐露している。今後、 10年間以上の長期にも亘る可能性があるが、我々の活動を温かい目で、長い目で見守り、ご指導もいただきたい。

D 小日向プロジェクト         春日通の街並みと生活環境を考える会    清水さん
 現在、工事が中断されているが、この経緯について東京新聞の記事(6/29、夕刊)と区への要望書を配布したが、新聞記事の方がわかりやすい。「考える会」では、 東京都のあっせん調停会議に持ち込み、半年以上ねばりにねばった過程で、ヒョウタンからコマという感もあるが、建物の建築基準法違反が判明した。その後は、 急転直下、事業者が確認申請を取り下げ、ばたばたと工事中断に至った。もともと春日通沿に連坦制度という建物 の高さ制限の緩和措置を適用して通常は40〜50m高さで 揃っている通りに倍近くの高層の建物を建てようとした、いわば法の悪用という観点から攻めた。新聞ではこの視点は取上げてもらえなかったが、その他については大変公平、 客観的で正確な記事となっている。しかし、まだ一区切りとは言えず、何も解決していない。塩漬けに出来るか、15階前後に留めてくれるのかが勝負というか落とし所と考えている。 これに向けて今後も粘り強くやってゆきたい。なお、これまでのやりとりの過程で悟った教訓は、「プロのやることだから間違いはないだろうとはなから思わないほうが良い」ということである。

E 関口の目白坂計画                目白坂の住環境を考える会    野口さん
  目白坂の大型マンション計画のことは、4年前業者が2000坪の敷地(100年以上の森)の一部の木を切ってはじめて知った。幸い工事が中断しているので、彦芽が出て環境は余り変わっていない。 マンションは、すでに区から開発許可が下りており、これ受けて業者の確認墨証も下りている。「考える会」では、まず、区の開発審査会に対して、開発許可の無効を提訴した。争点の一つは、 目白坂は、図面上では4m〜4.5mあるが実際は2.7mしかなく、S字の急カーブになっており、消防活動にも問題があること。もう一点は、崖が部分的には35度位の傾斜があり、これに擁壁を設けず 工事をしようとしていることである。しかし、これらの争点については殆ど審査されることなく、 原告不適格ということで却下された。これを不服として、協議の結果、期限(6ヵ月) ぎりぎりの今年の4月に地裁に審査会の裁定無効の提訴を行った。論点は、区の場合とおなじであるが、弁護士を使わず原告7名で訴状を作成したため、不慣れな書類作成に苦労した。 初公判は、9月末から10月にかけて行われる予定である。なお、これまでは景観のみを争点にしていたが、マンションが建つと豪雨時に水流が変わり、危険になる住居が出ることが判明したので、 危険を論点に加えることにした。また、業者は開発許可直後、都庁に建築許可申請し、昨年8月に開発審査会で審議中にもかかわらず、建築許可も下りていた。そこで、地裁と並行して都の建築審査会 に対しても建築の無効を提訴している。争点は、日照権と通風で、都と確認審査機関との間で書面によるやりとりをしている。

  F 民主主義は町会から!                     小日向台町町会  小川さん
文京区には、155の町会があり、その集合組織、町会連合は、年一回、区長も出席し総会を行う。若干の討議も行うが形式に流れ実質的な形で実を結ぶことはない。総会の最後は、 3本締めである。これは、町会が昔の氏子組織を色濃く残している事であり、年功序列の組織、経理のあいまいさなどお祭り組織のあいまいさを町会組織が継承している事を物語る。 例えばK町会では、町会幹部が20年余、合計800万円超す使い込みをしていた事実などが昨年来、露呈し総会で告発の見送り、弁済と辞任が議案になっている。
町会の課題は、これから文京区に流入する若い住民が持つ日常感覚としての権利意識と、異議を申し立てることを政治的ととらえ、町会、行政に関して口を出すなというふるい町会の 体質とかみ合わないことである。地域の関心が集まる事には町会が行政に説明会を求め、重要な問題に関しては住民の賛否を問う必要がある。区議会が密室の与党会議の決定に 従った流れで行われ、区民の意見の反映が時間切れになり、無視されやすい状況では、きわめて重要な区民意見の表現手段の一つとなっている。
 行政担当者は、長になっている人に話をつければ流れを作れるという意味で、町会組織はPTA同様使いやすい存在である。極端な例としては、文京区のはずれの五中跡地に新設する 福祉センターに教育センターを併設させようとした問題である。区内全域の子どもたちを対象とした教育のセンターの設置場所に関する問題に、PTAは呼ばず、神田川沿いの6人の 町会長を委員とし、福祉関係委員とともに協議会で結論を求めようとした例がある。(教育センターに関しては答申不敵の結論。のちにアクセスの良い湯島体育館跡地にセンター設置が決まる) 町会が機能するためには、住民は、町会総会で意見を述べ、活動に参加する事が重要である。
 現在、大地震時の避難場所運営の問題がある。文京区は他区と違って、この問題を町会に丸投げしているため、区が用意している避難所の各種備蓄品を町会員以外には配らなくても 良いというような町会もあり、避難所運営といった極めて公的性格の高いものを運営する側に、“三本締め”の町会は身を置き始めている事にそろそろ目覚め始める時期かと思われます。 小日向台町町会では、年4回「町会だより」を発行し情報の共有化を図り、それぞれの行事、会合の出費も誌面に明示し、飲み食いだけの町会といった一般のイメージからの脱皮を心掛けている。

    G 千駄木NTT問題                谷根千の町と子供を守る会   田尾さん
 2年半ほど前に 千代田線千駄木駅前(道灌山側)の現存のNTTビルの後側の体育館撤去跡に8階建のビル建設計画が起った。当初、8階建の事務所棟という話であったが、 詳しく聞いたところ、実体はコンピューターを収納するための、通常ビルの16階に相当する高さが50m近い巨大なビル(当初設計時の延べ床面積:10,000m2以上) であることが判明した。しかも、不忍通りから30mも奥の「近隣商業地域」 なので本来高層ビルは建てられないが、地下ケーブルで連結されているので既存ビルと不可分一体 であるという理屈が認められて、都の開発認可が下りている。当初、延べ床面積が10,000 m2以上で都の扱いであったが、設計変更で10,000 m2以下となり、高さも10mほど 下げられ、区の扱いになったが、「守る会」で陳情しても、区は都の認可がすでに下りているからと取り合わず、いったん基礎工事が始まったが、反対運動もあったので 工事は1年半ほど中断したが、今年の2月に再開され、現在基礎工事が進んでいる。このビルは、屋上だけで100台(合計320台)の空調機が設置され、排気温度も夏場には50度にも達する 熱波の心配もあり、また、低周波騒音の問題も懸念される。さらに1万kWを使用するこのビルの地下(17mまで、掘削は30m)には大型の変電設備も設置される。このため、 建築差し止め申請を出した。 NTT側は、このビルは通信設備用なので、交番、消防署に準じる公共性が強いと主張している。7月28日に予定されている裁判を傍聴してほしい。裁判の争点は、一敷地・一建物という 建築基準法関連の問題の他、電磁波、地盤(もともと藍染め川があった軟弱地盤)の問題などである。住民の反対運動の模様は、東京新聞(2010.4.21)にも報じられた。

H 西片町のワンルーム・マンション             西片町の安全と環境を守る会  横山さん
スクールゾーンになっている農学部前(17号線)近くの区道(幅:4.05m)の80坪の角地に9階建てのワンルーム・マンションの建設が始まろうとしている。もともと見通しの悪い ところであるが、加えて区道側に全ての出入り口、駐車場、駐輪場を設ける計画になっている。第1回の説明会の段階から駐車場等に関する要望を伝えていたにもかかわらず、 住民の要望を全て無視して、第4回の説明会までの間に当初計画のままで確認申請し、建築確認が下りてしまった。その間、住民に対して一部変更提案もあったが確認申請上は 何の変更もせず、第4回の説明会の際に7月1日に当初計画のまま着工することを表明した。これまでも区(指導課)には、区長宛の要望書を出したり、 接触があったので、6月29日に区役所に出向き、現状報告をした結果、区側はこの状況下で 着工するのはまずかろうということになり、6月30日に、住民との話し合いがつくまでは、しばらく着工を見合わせるよう工事延期の勧告を出してくれたので、今のところ工事はと まっている。事業者側から区のあっせんの申し出があり、7月22日に話し合うことになっている。このマンション予定地は、誠之小学校、第一幼稚園及び17号線を挟んで向丘保育園も 近いので、通学、通園の安全のほか幼稚園の屋上プールのプライバシー問題等も考えられる。このため、最終的には町会も町内の環境にかかわる問題として住民に呼びかける目的で、 7月11日には町会長名でチラシ600枚を配った。

I 堀坂・六角坂マンション問題      小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える会  戸波さん(補足説明:中山さん)
 この堀坂・六角坂マンション問題は、「 ニューズレター 第1号」が今年の7月7日発行なので、新しい問題のように思われるかもしれないが、実は古い案件であり、2004年5月に、 事業者から1,360坪の敷地に10,000m2を越える巨大マンションを建設しようとする建築計画のお知らせが来た。このため、敷地の西側及び北側の住民代表20名が「小石川二丁目 マンションを検討する有志」として所管の東京都に出向き、都のあっせんを要請した。あっせん4回、調停4回がもたれたが、高さの問題など、多くが積み残されたままであった。 いろいろと議論をしているうちに、開発許可がとられていない問題や、当該敷地が接している南側道路(堀坂)の幅員は3〜4mしかなく都の建築安全条例で定めている6m幅員 を満たしていない問題が明らかになった。事業者は、建物完成後に6m道路にすると主張したが、東西南北の住民が東京都建築審査会に審査請求した結果、5年前(平成17年)の 6月27日に建築確認は取り消された。このため、事業者と公共性の面からメリットありと考える文京区は、6m道路を作るために頭をひねった。6m道路になると、 双方向通行になり、安全性が損なわれる。また、勾配が11%のところに駐車場を作ると言い出した。争点は、6m道路化に当っての安全が確保されてないことである。 都市計画法で開発許可を得るには、 6m 道路に接し、勾配は9〜12%が上限となっている。一方、マンション予定地前の堀坂は18%もある。区は区内の60数箇所の坂は、全て12%を越えているので、これを守ると 開発が全く開発が出来なくなると説明しており、都もこれに同意している。文京区に実ならず東京都も中立を保っていない。このため、近隣住民8名が4月1日に提訴し、6月30日に地裁で第1回 口頭弁論があり、原告代表が意見陳述を行なった。 7月1日に建築計画のお知らせがやっと出た。標識が出ているだけで、説明会は8月中旬にしか出来ないと言っているのは問題である。

以上(文責:荒木)