第12回《お結びの会》:交流会 

1. 日 時:2011年2月20日(土)、13:00〜16:00
2. 会 場: 文京シビックセンター5階 区民会議室C
3. 参加者: 24名
4. テーマ : 「今 文京区でおきている 〜いろいろな問題について」
           

  司会 「お結びの会」 若月田鶴子

5.議 事

@ 現在係争中のケース(裁判中) (@)重要文化財・銅御殿の危機                    

銅御殿市民の会  広田さん

 銅御殿(あかがねごてん)は、1912(大正)年に建設され、文京区小石川の湯立坂にある。 山林王磯野敬が建てさせた近代和風住宅の傑作であり、 今では失われた技術、入手できない材料(屋久杉等)が使用されている。2005年12月に国の重要文化財(建築物では都内で5件のみ)に指定された。この銅御殿 のすぐ脇にマンションを建設する計画が持ち上がった。2005年12月に、「工事のお知らせ」が近隣の人に配られて、いきなり樹木の乱暴な伐採が始まった。銅御殿 のわずか数メートルの隣接地に建てられるマンション建設後は、ビル風や地下水の流れがとまる等の影響が心配される。  こんなことになったのは、マンション基本設計時に隣に歴史的建造物があることを事業者側が知らなかったこととともに、建築法制と文化財保護法制 との間に隙間があることである。今後は、「点の保護」から「面の保護(周りの環境を含めたもの)」への転換が必要である。 さらに区、都、文化庁間で責任を押し付け合い、行政は無責任であった。文京区長、教育委員会、行政の窓口、区議会、東京都、文化庁、国土交通省、衆参国会議員 (委員会全員)にも働き掛けたが、いずれもあと一歩で動かなかった。特に教育委員会には、具体的な該当条例まで指摘して依頼したが、動いてくれなかった。
 最後の手段として裁判で争うこととして、2つの裁判を起こした。
 一つは、文京区と建築確認審査機関相手の訴訟で「建築確認取消し訴訟」、もう一つは、文化庁相手に業者に対する監督責任を問う「環境保全措置命令訴訟」である。 文京区と建築確認審査機関相手の訴訟の場合、我々の主張は、下記のとおりである。

a. 規模の大きい計画なので、建築基準法による手続きの中で都市計画法を参照すべき。
b. 都市計画法に基づくと、周辺環境への配慮が必要なはず。
c. 隣接する重要文化財に対する配慮を欠いた建築確認は無効なので、建築確認の取消しを求める。

 このマンション計画は、大規模な建物(敷地)であり、開発行為に当たるはずなので、開発許可を得なければならないが、この建物は許可を得ていない ので違法ではないかと訴えている。文化庁相手の訴訟では、訴えが二つある。一つは、文化財保護法第43条1項「文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響 を及ぼす行為をしようとするときは文化庁長官の許可を受けねばならない」を適用して、許可手続きを行う義務があることを確認させようとした。しかし、文化庁は、 「影響が軽微な場合は不要」との条項に該当すると判断している。
 2番目の訴えに関しては、文化財保護法第45条1項に「文化庁長官は、重要文化財保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、 若しくは禁止し、又は必要な施設をすることができる」とあるが、これは絵に画いた餅で、使われたことがない。  また、当方は、「文化庁長官は、重文磯野家住宅に現状を越えるピーク風力係数をもたらす構造物を建設してはならないとの命令をせよ」と主張している。
 これら2つの裁判のポイントは、
 a. 原告適格が認められるかどうか(特に文化庁の裁判)であるが、現在の裁判制度では、この事件によって原告がどれだけ不利な状態に置かれているかが問われている。 端的にいえば原告は、銅御殿が壊されたとしても一文の損もないので、この裁判はチャラにしましょうという論理であるが、これはおかしいと思う。損はないにしても、 文化庁が間違った判断をしているので、誰が訴えようと間違った判断は是正されねばならない。このような日本の裁判制度も変えてゆかねばならないと感じている。
 b. 建築法制のこちら側の解釈が認められるかどうか(対区・審査機関の裁判)。
 c. 風による被害の予測が認められるかどうか(両方)。風による影響は、原告側が証明しなければならないが、これは大変困難なことである。

 現在、裁判は山場に来ているので、傍聴席を傍聴者で埋め尽くしたい。
次回の公判は、
 3月1日、11:00、東京地裁705号室(対区・審査機関)
 4月25日、10:15、東京地裁522号室(対文化庁)
 添付資料@ 特派員レポート
 添付資料A 春を呼ぶ集い2011

   (A) 関口の目白坂計画                 

目白坂の住環境を考える会  野口さん

 目白坂は、文京区の一番端の目白2丁目にあり歴史的には、S20年に焼失した嘉永年間の 古地図にも記されている五色不動の一つである目白不動の跡地(現在はマンション)である。なお、この不動は現在、豊島区高田の金乗寺に移動している。  現在のマンション建設計画地の森には、ブナ、ユリノキ、プラタナス等の大木がある。中には、直径1m近く、高さ18 mにも達するものもある。また、多数のタヌキが 生息している。我々は、この自然環境を活かした方向での開発を希望しているが、業者は話合いの場に出てこないうえ、既に開発許可、建築許可ともでているので、訴訟で異議申立を している。開発は恐ろしいもので、文化的なものがあってもあっと言う間になくなってしまう。しかし、開発に関する訴訟では、水の被害と崖崩れ被害の2点しか争えない。 開発地は、50年くらい手つかずの状態であり、壁面に亀裂も見られるので、その危険性を訴えているが、文京区からはやはり原告不適格と言われている。 これを突破して、危険性の論争をしたい。これとは別に、建築確認に関して都に異議申立している。現在、議論がさく裂し、7回目の反論書を出したところである。もう一点、本来2,000坪 の敷地内の木は、勝手には伐採できないはずなので、都の自然保護条例に反していないかという点で、異議申し立て中である。皆様の協力を得て50人の申立をしたが、昨日これも原告 不適格ということで却下された。

(B)堀坂・六角坂マンション問題 

小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える会   中山さん

 配布資料は、今月17日付で原告代表の戸波江二先生が文京区長にあてた異議申立書である。開発許可取消訴訟は、現在文京区で2件ある。六角坂は、北から南への一方通行 であるが、堀坂は一方通行ではないが、幅員3〜4mの坂道であり、一方通行にするまでもなく車は通らないが、斜度が18%もあり、文京区の坂の中でも急勾配な坂である。区には60ヵ所 も急坂があるとのことであるが、国の基準(都市計画法、道路法)では道路(国道)の斜度は、9%までしか認められていない。急に見える冨坂でも7%である。
 この小石川二丁目マンション問題は新しそうに思われているが、実は7年前の2004年5月に建築計画のお知らせが出た。当初の清水建設の計画案は、土地を全部使って マンションを建てる、どこにも余裕のないものであった。高さは、地上9階、地下2階であるが坂の下から見ると11階建である。一番の問題は、急坂である堀坂の真中に駐車場の出入り口 を設ける設計になっている。坂の上の方は平らなので、ここに出入口を設ければ住民への影響は少ないが、建築主の採算の都合で中央に計画している。この道路に面して自宅のある戸波先生 をはじめ、東西南北の近隣住民有志が、都の建築審査会に審査請求をし、翌年6月に確認取消しの裁決があった。その時の取消理由は、駐車場出入口の位置の問題ではなく、清水建設では 建設完了後に6m道路にするとしていたが、建設着手前に道路の拡幅が必要というものであった。その後3年ほどとまっていたが、2008年12月に、清水建設が撤退し、日建ハウジングシステム が出てきた。違いは、道路を先に手掛けることした。この場合、開発許可が必要となる。その後マンションを建てるが、この場合、3%の緑地が必要になるため、坂の上の部分の敷地を公園 とした。これは法令に従っただけのものであり、本来7年前にも開発許可をとるべきであったものである。今度の計画でも車の出入口の位置は、当初案と変わらず坂の中央部に計画している。 さらに車寄せが全くないので、タクシー、宅急便、介護サービス車の停車場所がないので完成後でマンション利用者も困るはずである。
 文京区は、開発許可(2009.3.11)を下したのち(2009.3.25)開発事業者と面談し、次の7項を近隣住民の要望として伝えているが、本来これらは開発許可の前に言うべきである。
a. 建物高さを20m以下とする。
b. 歴史性に配慮した歩行者空間を整備する。
c. 急峻な位置に車の出入口を設けない。
d. 歩道状空地は段差がなく、車椅子も通れるようにする。
e. 緑地帯を伴う歩行者優先型の道路整備とする。
f. パースを作成し、説明会をわかりやすくする。
g. 車寄せを敷地内に設置する。

 現在、堀坂の拡幅工事が進行中であるが、まだ、道路の真中に溝があり、電柱も立っている。また坂の下の角は隅切りになっているが、急勾配で危険として全く通れなくしている。 これは、本来の隅切りの目的から外れている(右下写真)。
2011年2月17日付で堀坂が中途半端に不格好に整備されていることについて異議申立をした。最終形になるまできちんと整備し、一方通行等の規制により安全を確保するように、 多くの方々に区のホームページに「区民の声(要回答)」を送ってほしい。 また、原告の意見陳述書などについては、当会のホームページを観てほしい。

   
(C)千駄木NTTサーバービル問題                     
原告団  西川さん

 NTTコンピュータービル(正式名:NTT第2駒込ビル)は、不忍通りの千駄木駅北側出口の真正面にある。これを増築するということで工事が進められている。2008年 に出た表示では、8階建ということであったが、6〜7m/階なので高さは、40m位になることが判明した。住民の要望で情報開示を迫ったところ、景観の問題以外にも電力使用量が 1万kW(文京シビックセンター全体の2倍近く)もあることが分かった。また、建築基準法の届け出では業務ビルとされているが、中に入るのがコンピューターのサーバーであり、 実際は無人で工場のようだとも言われている。このサーバーを冷やすため、365日、24時間稼働する室外空調機が160台ビルの上にのることが明らかになった。原告団は、不忍通り 沿い敷地は商業地域であるが、敷地の半分(台東区側)は準商業地になっていて、容積率が300%のはずなのに、既存建物の増築ということで40mものものを建てようとしていること に抗議している。不忍通りから一本入ったところは、昔懐かしい町並があって、観光客もたくさん来ているところである。そこに40mの壁ができて、電磁波や低周波の問題も心配さ れている。これらの環境問題及び建築基準法違反(増築)の観点から裁判を行っている。
 建設地の台東区寄りの道路(夜店通り)は、昔「藍染川」が流れていた所で地盤が非常に悪い。ここに地下18m(6階分)掘下げて機械等が入るので、地盤沈下の恐れもある。
 次回の公判は、3月11日(金)、10:30〜、東京地裁626号室で行われる。
 添付資料:配布チラシ

A 現在、未解決のケース

(@)礫川交流館の建替え問題  

礫川交流館を考える会 青柳さん 

 今回は資料を用意していないので、前回の資料(「つぶて創刊号」「つぶて2号」を参照してほしい。 礫川交流館は、堀坂近くのセンター通りを一本入った細い通りにある。 区は建替え計画は持っているが、住民には具体的な計画は一切知らされていない。町会からも要望が出されているが、進んでいない現状である。建替えが実現しない現状での 「考える会」の当面の改善要求は、現在たった一つ2階に和室があるのみなので、1階部分の利用をさせてほしいということと、隣にある空地に年寄りも自由に出入りできる ようプレハブで集会室を建てて欲しいということである。また、殆ど利用されていない近くの国家公務員研修センターを利用させてくれないかとも要望している。さらに裏口 に現在の利用団体の掲示板設置も希望している。さらに、礫川交流館の問題点は、他の 地域活動センターが週日は9:00〜20:00まで、土日も9:00〜17:00まで開いているのに対し、 礫川交流館のみはシビックが近いからという理由で、週日の9:00〜17:00しか(土日休み)オープンしていないことである。

(A)春日・後楽園駅前地区再開発      

 文京の環境を守る会  藤原さん

 春日の再開発計画は、10数年前からあったようだが、2008年の7月に近隣説明会があり、8月の都市計画説明会の後に当会の代表となった阿部さんが155mビルが建つ というチラシを作成して配ったことで、住民は初めて知った。 日本設計と言うコンサルタントが既に案を作っていた。10月以降、高過ぎるということで署名を集めて、陳情書 提出等を行ってきた。新聞折り込みチラシ配布も行った。区長、知事にも意見書を出す等あらゆる手を尽くした。西片住民のエゴなどとも言われたが、文京区全体の景観に ふさわしい計画に直してほしいと訴えた。区の指導を受けて、準備組合が141m案を提案してきた。5月中に都市計画審議会が2回開催され、6月末に決定した。公益性がある計画 なので、開発行為は合法との結論に達した。141m以下にすると採算に合わなくなるとの主張があったが、根拠が示されなかったので、情報公開請求をした。この顛末は、 ≪お結びネット≫のホームページに載せてあるが、結果は「行政情報不存在」ということで非公開であった。 説明会でこれ以下には下げられないと言っておきながら、根拠を 求める問いに対して論理をすり替えて、都市計画決定の段階では高さの上限を決めるだけで、これ以下にできないということとは無関係なので、そういう情報は行政にとって 不必要なので、無くても当然ということである。文京区民にはこれ以下にはできないと言っているのは、論理がおかしいので、情報公開と個人情報保護の審査会に異議申立を したが却下され、次に審議会に訴えたがこれも却下された。都市計画部というのは、一つの計画を作ってしまったら、それを守るために何度でもすり替えて情報は出さないし、 説明会では根拠のないいい加減な説明をしている。このような区の態度に太刀打ちするためには、住民の運動を大きくすることの必要性を実感した。計画の問題点の一つは、 図の中央部にあるグリーンバレーである。これは、ビルの間の隙間のようなもので、日当たりは悪そうだし、風が凄いだろうと思われる。風の検証は、実施設計の段階で良いと いうことで、やっていない。それでも環境アセスは通ってしまったのは、制度的にも問題ありか。
 なお、現地の準備組合はそのままで、組合はまだ設立されていないが、全権利者を特定するための手続きが進行中なので、その後事業組合の設立、事業認可(目標: 今年度中に申請)となる見込みである。
 今年度中に改定される「新都市マスタープラン」関連で2011年度策定予定の絶対高さ制限を定める高度地区指定方針が検討中であり、原則区内全域の高さ制限を定 めようとしている。しかし、「都市核」は、その対象地域から除外されているが、その理由(下記)がよくわからない。
-------このように、一律的な絶対高さの基準によるのではなく、より詳細で総合的な方法 によって秩序ある都市核の市街地形成を進めてゆ必要があることから、指定対象外とします。

 制限をしない場合、もし現計画がつぶれた場合、180mとか200mの建物も可能になってしまう。

(B)順天堂キャンパスホスピタル再編計画     

順天堂の再編事業を考える住民の会 福嶋さん

 本郷2丁目1-1におけるこの計画は、まず2009年10月中旬に1H(建物高さの1倍の範囲)の住民に先がけて限定的に広報している。2Hの範囲に広報したのは、 2009年2月下旬である。施主は、学校法人 順天堂、設計者は清水建設、実施設計は日本設計となっている。計画建物は、病院、地上21階、地下3階、高さ:99.98mである。 紛争の原因は、総合設計制度適用への疑問(=市街地の改悪)である。病院南側と周囲の公開空地は、環境改善とはならず、特例の見返りとしての容積率増は、 真北ならびに北西側の住民に広範囲に日影、風害、圧迫化をもたらすのではないか? 一番の懸念は、日影である。順天堂側の住民への最初の広報は2009年秋以降であるが、 2006年頃に既に再編計画構想をしており、その間住民側との協議などは一切なかった。区民や近隣住民が耐え忍んでいた日常の交通問題をはじめ、新型インフルエンザ患者 に区道上を歩かせたこと、点在する順天堂取得のサテライトの問題等を住民側に指摘され、毎回紛糾してきた。昨年で7回の全体説明会が終わり、2Hの住民の会、順天堂 清水建設で話合いを継続しているが、先方は不誠実で、高さを下げる、北側を空けて南側に寄せる、日照に配慮し、健康的な生活環境維持などに配慮はない。さらに風害低減 等の未解決事項に関する事項が多く、議事録には極めて空欄が多い。今年初頭、順天堂の理事の一人が住民に予告なく意見交換会に出席し、自ら確信をもって出した総合設計 制度は、昨年、平成22年12月4日(土)旧元町小学校での意見交換会で、清水建設順天堂が、日影については環境改善にはならないと言辞があるのにこの理事は認識して いない。また、もとから存在している北西側の公共の「水道公苑」に大幅な日影を永遠に作るのに、緑に囲まれたエコキャンパスと順天堂HPで言うが、実際は21階建築計画で、 この公苑の樹木や緑を建物の影で遮ってしまう。なお、順天堂はB棟の21階のみならず、中長期計画を示し、B棟の工事の進捗をみて、8号館、3号館を8階程度に建て替えする 予定である。また、避難所であり、文化財に指定すべき旧元町小学校を6年間契約で区から借り上げているが、その避難運営協議を具体的にもっていないし、近隣全体には 一度も説明がない。行政側へは、説明会、意見交換会の内容を報告している。
本年(1月22日)の意見交換会で施主の順天堂側の代表は、下記のような発言をした。
a. 総合設計制度で近隣の住価値がいずれかならず上がる。
b. 最後に法的な迷惑料を考えていきたい。
c. 買取りをしたい。(数度、共存共栄を口にしながら、皆様がお持ちになっているものが必ず価値があがるから買取りをしたい。)今買い取らしてもらってはどうか?
d. 医療と近接で?住価値があがる。(数度発言)
e. 迷惑料は 結果的には近隣の人達に対して皆様の勝ち取った成果である。
f. 皆様によって医療が壊されたと錯覚されるような人が、もしおれば、非常に困る------。
g. (その他にも許しがたい発言が多々あるが省略。)

住民側司会は、参加者とともに撤回を促したが、順天堂側代表は撤回しなかった。続く意見交換会で、住民側は、上記の発言に関して、これらは順天堂の総意ではないか? との質問に対し、順天堂側は、理事の一人の個人的見解であると言辞があった。議事録中にも記載があるが、「内部でずいぶん議論して、その結果プロセスとして最終的に 総合設計制度が最も優れていると、皆さんにとっても一番優れた計画であると、私どもは確信をもって出したつもりであったと」言うが、組織として総合設計制度に至った 経緯を語るだけで、個人的見解など入る余地の隙間さえ全くない。総合設計制度の導入で、近隣住民との軋轢に発展すると推定し、その具体的方策として内部で議論された結果、 買い取りたい、とまでも事実として住民の前で言っている以上、理事の個人的見解とは到底言えない。更に理解できないのは、「これで皆さんにお話しした上で、いまだ問題点 があれば、こういう意見交換会は続けて頂いて、どんどんご意見を頂ければいいと思っている。」との順天堂の結論総意を出しておきながら「意見交換会をどんどんやって 頂ければ」などと言うのは、支離滅裂で論理が飛んでいる。理事は次のことについても発言をしている。「皆様によって医療が壊されたと錯覚されるような人が、もしおれば、非常に困るわけでして…」との言辞は撤回していない。「もしおれば」などと不確実な事を持ち出して、 問題の焦点をぼやかし、責任の転化を図ろうとしている姿勢は断固として許せない発言である。建設計画は住民が計画したものではなく、順天堂が事前に住民に何らの相談も 無く一方的に提起してきたものである。それを住民側によって「医療が壊されたと錯覚する人が…」などとよくも言えたものである。このような発言に至る背景には、 建設計画が予定通りに進捗しない苛立ちが表面化したのではないかとさえ住民は感じている。日本の医療の最先端と自負している最高学府の理事の一人の発言なのか? 錯覚されるような人とは、いったい誰なのか?当該地域のみならず区民全体の説明会があった以上、異議を唱える住民によって??医療??が壊されたと錯覚されるような人が、 どこにいるのか?もしおれば、いるかもしれない、いないかもしれません。現実に住んだことがあるかどうかわからない方が、地域住民を愚弄し、曖昧な挑発的な態度で人を 喰ったような発言には、思慮も仁の微塵すらも感じられず、怒りを通り越して悲しみに涙する住民さえいる。順天堂や清水建設は、計画は変更できないので、高さによる日影に対する迷惑料として、恣意的ともいえる金銭的解決を一方的に持ち出して近隣を個別訪問した。 居住する土地建物を買い取るなどということが、学校法人の提案することなのだろうか? 日影を作る住民にだけ、一方的に個別に期間限定的な経済的解決を持ち出すことは、 地域全体の共存関係や公益性を思慮しない大変失礼で貧困な発想ではないだろうか。また、税金から多額の補助金が出ている学校法人であれば、さらに怒りと不信感は増す。

(C)小日向プロジェクト(トヨタレクサス空中権売買)

春日通の街並みと生活環境を考える会  清水さん

 昨年、東急不動産の北側斜線の建築違反が見つかり、5月末に建築確認を取下げ、現在までに9ヶ月程工事がストップしている。昨日(2月19日)新たに正式の 図面ができたということで、改めて業者側の説明会があった。1月4日にお知らせ看板が出た。都に問い合わせた結果、B棟は建っているが、C棟の22階に対して連坦が絡んでいる ので、まず連坦の審査を実施し、許可になってから大臣認定申請、そのあと本来の確認申請に入る。我々としては、連坦の見直しということで、当初認められた、空中権売買の 妥当性について追求したい。3月のはじめから中旬にかけて申請を出すものと思われるので、これに合わせて都に要望書を出す予定にしている。文京区にも同じものを出す予定である。 都市マスタープランがH24年4月スタートと聞いているので、区に対して前倒しにできないか要望書で協力をお願いしたい。また、建設中の基礎杭の扱い(再利用)についても問い合わせたい。

(D)植物園脇道道路拡張問題              

 小石川植物園を守る会   野上さん

        小石川植物園では、老朽化して危険な温室を建替えるため、“Life in Green Project”で募金を行っている。4〜8億円かけたいが、金の出どころがない。募金は、 まだ5,000万円しか集まっていない。この植物園には、有用植物や珍種もあり、保存が重要であるにもかかわらず、専任の職員は6人しかいないため、ボランティアや非常勤の人に 頼っている現状である。(英国の王立植物園:Kew Gardenでは300人位いる)

                           
@                A

 小石川植物園は、1722年に設立されたが、その後300年間現在に至るまで形は殆ど変らず、むしろ若干拡がっている。何故道路問題が生じたかと言うと、大正時代に造られた植物園 上側の塀(写真@)が古くて危ないので建替える話が最初に持ち上がった。また、下側の低い方の塀(写真A)を改修して道路を拡げようという計画を区が出した。(その発端は、 ある政治家が票を集めるために道路を拡げようと提案したことに依る。)博物館(分室)入口部等一部は、既に改修済みである。植物園周辺の道路改修は、周辺の住民のみにアンケート 調査をし、決めてしまった。

小石川植物園は、都から都市公園に指定されているため、緑を減らせないという条件があり、東大は金を出せないので、土地を提供して塀は区等に造ってもらうという 計画になっている。道路を植物園側に拡幅すると緑が減ってしまうので下図のように歩道の車道側に植林をするという変則的なものになっている。

     

一方、御殿坂の方は下図のごとく植栽を歩道の植物園側に計画している。

 3月16日に播磨坂下の清掃事務所(旧村田学園)において小石川植物園周辺道路の説明会がある。

 B 〜今日の話は昨日の続き〜今日の話をまた明日にしないために

(@)元町公園と元町小学校                    

 藤原さん(鹿野さんの代理)

 現在、元町小学校は順天堂病院が、本年度から6年契約で借りている。その後のことは何もきまっていない。12月に「みどり公園課」が素案を作ったが、お座なりで これまで6回の委員会での各委員(学識、公募、団体代表)の意見が反映されていない。また、文京区公園再整備基本計画策定検討委員会で区内の全公園について基本計画を策定中 である。先年から元町公園の修理や改修要望に対して、この基本計画を待って行うと行政は言っていたが、歴史的公園だとは一応認めながら、優先的に検討する気配は見られない。

 文京区公園再整備基本計画策定検討委員会の公募委員の鹿野陽子さんのコメントは、下記の通り。


   「欠席になってしまいごめんなさい。

元町公園と道路の花壇では、年明けに文環境の有志と一丁目二丁目の人で作った
元町花家族の会のメンバーで植えた春の球根の花芽が少しずつ上がり始めました。
歩においでください。
また、公園と小学校をドコモモ(20世紀のたてものと環境形成の記録と保存の
ための国際組織)ジャパンの2010年度末の選定に入るよう推薦して下さっている
方々がいます。万一の時に文化財保護審議会の委員の先生がたが動きやすくなる
といいなと思っています。
さらに、前回の危機の時に組織としては何らハツキリと取り壊し反対の姿勢を
表明しなかった日本都市計画学会について、詳しくはまだお話しできませんが、
ポジティブな関係をつくっていける道をつけるため、全国の会員に関心をもって
もらえるよう、この秋に予定されている学会創立アニバーサリーの行事に間接的
にスポットが当たるよう準備中です。」
鹿野陽子、ぱばっと会議@元町公園

  (A)図書館民営                           

 文京区役所 大橋さん

 地方公共団体の「公の施設」は、「市民・区民の生活の福祉に役立つもの」と定義されている。従って、競馬場とかギャンブル施設や庁舎などは公の施設とは呼ばない。 そして公益性が非常に高いから民にその管理・運営を委託しないという考え方でずっとやってきたが、H15年に法改正があり、民間事業者や株式会社にも委託が可能となった。具体的な 例では、体育館は後楽園ドームが運営している。そしてプール等は昼間の空いている時間帯に幼児教室等をやっているため、一般利用者用のレーンの減少も見られる。後楽園ドームは 以前には幼児教育用のプールを持っていたが、利益が上がらないため潰して、今はオモチャの遊び場となっている。 この指定管理者制度では、設備は非常に良くなった。
しかし、学校を民間業者に任せることはさすがに考えないが、教育機関である図書館やふるさと歴史館、保育園などの民間運営化が始まっている。図書館については、昨年4月から民営化が始まった。  図書館は、図書館法の第17条で無料の原則がある。それ以外にもそれぞれの人がどういう本を読んでいるか、どういう病気に関心がある等プライバシーとの係りの高い 施設と言える。このため教育学会等でも反対意見が出されている。文京区でも「反対」の運動が行われてきた。また、無料の原則があるため、図書館は儲けの対象にはなりにくく、 私立の図書館は弁護士会館、経団連とかの例外は別として、殆どない。従って、支出は本やCDの購入費、建物の維持管理費と人件費であるため、儲けを出すには人件費削減しかない。ハローワークでも図書館の受付業務は、¥1,000/h以下である。このため人が定着せず、資料相談に十分には対応できない(特に児童の場合)。現在の図書館の指定管理者には、出版業と無関係な業者がなっていることが多く、種々の弊害が出てきている。また、職員の研修もあまり行われていないことと、読者の秘密が守られるかどうかが問題である。最近、国会図書館の職員で外務省からの出向者が外交文書を調べた国会議員のリストを外務省(本省)に伝えた事例もある。  現在、真砂の中央館だけ直営にして、あとすべての地域館が指定管理者制度になっているが、民間事業者どうしでは、優れた良い経験を報告し合うということは殆どない。 また、失敗例や利用者からの批判は減点になるので、あまり明らかにされない。しかし、役所ではいったん取り入れた制度を急に元に戻すことはあまりないので、いろんなものを蓄積し ながら、より使いやすいものを作ってゆく中で解決するしかないと思う。

     Q : 図書館を何故民営化したのか。
     A(村越区議): 要するに行革で区の職員(人件費)を削減するためである。シビックの中の事務は、なかなか減らせなかったので、外部(現業)の人達を減らすしかない ということになる。保育園をやったところ、文京区の場合、保護者の結束が強くてうまくゆかなかった。交流館及び給食はやった。出張所も職員を引き上げて少なくしたので、残って いるのは図書館のみとなった。図書館では、50人の削減ができた。 区の職員数には目標があった。人口20万人の場合、職員数は2,000人で良かったが、実際には2,000人以下まで減らした。

     (B)音羽通りマンション、茗荷谷再開発(100mビル)、新大塚公園問題 他                                  

小日向台町町会長  小川さん

     私は、町会長を6年間やったが、この間に起ったいろいろの問題の内から2、3の大きなものについて、話をしたい。私が町会に入らざるを得なかったのは、7〜8年前に鳩山会館 の前に住友不動産による二十数階のマンション建設計画が突然持ち上がったことである。何故こんな高いビルが建つのかということから、町民が運動を始めた。 S40年頃、前々会長の時代に護国寺から鳩山会館近くの部分が、理由は定かでないが、一種住専から商業地域に変更され、建蔽率がはるかに大きくなった。もう一つ、鳩山会館の前の音羽 通りは、昔は一本の川が流れており、護国寺への参道を真中につくり、周りに2本の小さい川を流した。それらの川はそれぞれの台地の下を流れていて、現在も今富神社では、暗渠跡が見 られる。その暗渠の中を下水道の本管が流れていた。この本管の上は「みずみち」と称して道路ではなかった。我々住民は、道路とばかり思っていたので安心していた。また、鳩山会館入 口の所は、鳩山家が戦前から車の通り道として占拠していた(東京新聞の記事あり)。その後、このみずみちの両側に地上げが入り、両側が空地になり、下水道管も不要になったため、 所有者の下水道局は、これを一括14億円で売却してしまった。このため1種住専から商業地域に変わった土地と合体して大きな土地ができた。そして住友がマンションを建てることになった。 さらに、その後建築基準法の緩和(廊下、階段等の容積率不算入)もあったので、さらに大きなマンション計画となった。これが「音一闘争」で2年半くらいやった。この結果、当初計画の 二十数階が最終的には、15階に収まった。

 次に茗荷谷の旭化成が中心となって計画された、都バス車庫及び一般住宅地の2つの土地の大規模再開発である。なお、この地域にある薬局及びアパートは参加していない。 この2つの地域の地権者が再開発組合をつくったが、問題なのは80億円の資金を持った旭化成が入ってきたことである。一番の問題は、本来区分所有となるはずであるが、ここの場合、 第一街区、第二街区とに分けて、第一街区は所有者1人の再開発とした。これによって最も得をしたのは都の交通局である。奥の窪地を移して変形の土地整形ができ、春日通りに面する部分 も倍増した。また、移転に際しては、旭化成が組織票を用いて移転賛成投票した。地元で一番心配したのは、風の問題である。風洞実験もやったようであるが、風害の説明は非常にあいまい なもので、わからない。従って建てる前に住民側で風力計を設置して、結果が説明と違う場合には、訴訟する位の事が必要である。もう一つ重要なことは、建設後の責任を持たせるため、 このマンションの場合にはできなかったが、「重要事項説明」の中に一項を入れることを施主に認めさせることである。

 三つ目が新大塚公園問題である。新大塚公園も都市公園であるが、都市計画で決まっている公園は普通動かせないが、文京区だけはこれまでにも3つほど動かしている。 一番ひどいのは、湯島の新花公園で、その2/3を学校に移設し、鳩山会館前に同じ面積の新江戸川公園を新設した。
 新大塚公園の場合、ある日突然、学校統合の関係で公園を潰して隣の教育センターと一緒に学校をつくる話が持ち上がった。この場合、学校統合の問題と都市計画変更の問題 がある。両方を情報開示して区民から意見を聞く必要があるのに、学校統合の話を優先させた。都市計画課は、かなり後になって表に出てきた。当初案は、新大塚公園を全部潰す案であったが、 1月に公園を守る会をつくり始め、区の名刺交換会前後にビラまきを始めた。そのとたんに桜を残す案が出され、さらに反対運動をしているうちに都市公園廃止案を断念し、公園内のグランド を昼間だけ学校のグランドにする案を持ってきた。この論拠は、他区で「兼用工作物」とした事例を拡大解釈したものである。その後、区は、学校設立時に必要な校庭の位置として七中の案 を出してきて、これが確定した。住民運動としては、この成果は、70〜80点くらいかと思っている。
区では、案件が出た場合に、区長部局(部長級)が区議会の仲間に根回しをして、ここで了解をとってしまい、これが事実上の決定となる。これを見栄えを良くするために町会連合、 各種審議会、協議会や国への説明会を行う。審議会、協議会では、団体、PTA,公募委員、学者経験者を呼ぶが、殆ど議論はされず、町会/区民説明会を経て区議会に回される。このため、 責任が拡散して、実に楽な流し方になっている。従って我々区民がなすべきことは、審議会・協議会にできるだけ傍聴に出かけることや中に入ることである。 教育センターの五中への移設(福祉センターと併設)というとんでもない案が出たが、この経緯については、≪お結びの会≫のホームページ(「文京ウォッチング」)を参照してほしい。 結局、協議会では福祉センターは認めるが。教育センターについては、結論を出さないという答申を出し、前述の規制の流れを変えた。 協議会のいい加減さの例としてBぐるルートの問題がある。今回、小石川地区にバスが走ることに なったが、ルート決定には、バス会社から出された3案について、老人がらみの各団体からの意見聴取をしただけで決定してしまった。 長いレンジで物を言って行けるのは、やはり町会とか市民運動をやっている方が延々と粘り強くやらざるを得ない。もう一つ町会が頑張らなければならないのは、 役所のタテ割りがあり、警察、消防も絡んでくるので、これに横串を入れるとうまく行く。また、区民の新聞がほしい。 (文責:荒木)