第5回《お結びネット》:講演会&交流会

 
日 時2009年4月7日(木)、18:30〜21:00
会 場アカデミー茗台、 7階 ボランティアルーム
内 容「地域福祉、現場から見えること」
講 師文京区社会福祉協議会 事務局長 奥山勇五郎氏

<奥山氏講演要旨>

1.講師自己紹介:秋田の農村に生まれ、ここで多くの兄弟とともに18歳まで過ごした。いわゆる「団塊の世代」生まれであり、多くの若者同様都市に憧れ、 故郷を離れた。文京区役所にも40年勤めており、今年定年を迎える。

2.文京区社会福祉協議会(文社協)のあらましと特徴
(1) 文京区社会福祉協議会(文社協)の生い立ち
@ 昭和27年12月12日設立
A 昭和38年7月、社会福祉事業法(現・社会福祉法)による社会福祉法人化。
B 平成13年4月、財団法人文京区福祉公社と統合し事業拡大。
C 平成15年10月16日、創立50周年記念式典開催。
(2) 文社協の目的
文京区における社会福祉事業その他の社会福祉を目的とする事業の健全な発達及び社会福祉に関する活動の活性化により、地域福祉の増進を図ることを目的とする(定款第1条)。
しかし、法律による生活保護、介護保険などのセーフティー・ネット業務は、行政本来の役割であるのに対し、文社協は行政対象の一歩手前の段階で、互いに支え合うことを目的としている。 また、小回りのきく一団体なので、縦割りの行政に比べると区民に近い位置にあるのが特長である。
(3) 文社協の事業(定款第2条)

(図は、クリックすると大きくなります。以下同様)

一方、文社協の予算(一般会計)は、下表のごとく約3.7億円であるが、独立団体ながら自主財源は、3,500名の会員からの会費、募金、寄付等による約10%で、 残り90%は区(都)からの受託事業となっている。

現在、事業数は、98にも達しており、内57事業については相当の実績がでている。主要な事業は下記のとおり。

<高齢者クラブ友愛訪問活動事業への助成>

高齢者クラブ連合会との連携下に1人暮らし老人を訪問し、の見守り、安否確認(9,000件/年)をしている。

<ふれあいいきいきサロン> 地域住民が主体となり、年寄り、障害者等へのたまり場を提供するもので、8年前から実施している。現在50サロンあるが、この内30が高齢者用である。 月2回まで、2,000円/回の援助をしている。サロンの設置・運営者、スタッフの情報交換会も実施している。

<ホームヘルプサービス>

介護保険以前の人を対象として、掃除、弁当などのサービス(有償)をしている。協力会員には時給900円が払われるが、下表のように利用会員数に 比べて協力会員数が少ない。協力会員数は、利用者数と同じ位が望ましい。

<ファミリー・サポート・センター事業>

子育て援助サービス(有償)であり、提供会員には、時給800円が支払われるが、やはり依頼会員に比べて数が少なく1人で何人かに対応している。 提供会員は、50〜70代の女性が多い。この事業は、前記の「ホームヘルプサービス」とともに、文社協の目玉商品になっている。

<福祉サービス利用援助事業(地域福祉権利擁護事業)>

認知症高齢者の財産保護、経済活動(公共料金支払い等)の支援を行うもので、8年前から実施している(有償)。現在15件を4人のボランティアで 対応している。「成年後見制度」の相談受付、利用支援も行っている。

<ボランティア養成講座>

手話講習は、文京区が全国で一番大規模に行っている。S61年から実施しているが、3クラスに分かれ年間38回もの講習がある。なお、 受講料は無料(テキスト代のみ必要)である。

     3.地域事情の変遷
(1) 人口構造の変化
文京区の住宅を建て方別にみると、下図のごとく十数年前には40%位だったマンション居住者の比率が急増し、現在64.7%に達している。

文京区の所帯数は、下図のごとく昨年5月、10万を超えたが、核家族化の進行により一世帯当りの人数は、1.88人まで下がった。なお、 H17年の統計によると、23区の1人暮らし老人の孤独死が5,500人に達し、毎年30%も増加している。
なお、文京区には大学が16校、教育機関は147箇所あり、全国一である。都立高校では、地域活動が必修になっており、「ボランティア祭り」 等に参加している。

また、下図のごとく高齢化率は、現在19.7%であるが、人口増が比較的若い人によっているため、若干改善のきざしもある。

一方、文京区の出生率は、近年若干上昇し、0.90であるが、これは全国1,700自治体の中でワースト・テンに入る。

     4.地域力(区民力)
(1)新たな支え合い
地域における支え合い(災害時の援助等)は、下図(厚労省の研究報告より)のように「自助」、「地域の共助」及び「公的な福祉サービス」 が重なっているが、今後は課題である人材(意識のあるリーダー)の確保により、真ん中の「共助」、例えば、災害時の援助、避難者の生きがい支援等、 を構築してゆく必要がある。

(2)文社協の取り組み
縦割りの区ではできない横の結びつけを探っている。例えば、区民に近い町会等と連携して、防災ボランティアの訓練、意識の高揚、マニュアル作成等 を考えている。

5.今後の展望
(1)施策の総合化
いろいろな機関で縦割りでやってきたところに、横道を差し込んで総合化できないかを検討したい。例えば、防災ボランティアの場合、学校は区立以外 にも多くある私立学校との連携を考えたい。なお、テーマ型(目的型)の機能集団であるボランティア市民と町会等の地縁型のものとの調整が課題である。
(2) 地域資源の活用
文京区には学生は多くいるが、学校内の生協のような、区としての学生のたまり場がないといわれてきた。また、学校には、社会福祉学科を持つものも あるので、これら学生のインターシップ等での活用にも期待したい。
(3) 住民自治の醸成
支え合いの町をつくるために、住民の連携を太くしたい。昨年、新宿区が戸山団地で実施した実態調査によると、生活には余り困ってはいない、また、 医療の問題も少ないという意外な結果が出たが、住民の課題(特に男性)は、寂しさの問題であった。高島平団地は、同年代の人達が一斉に入居した こともあり、40年後そっくり老齢化し、サポートする人がいなくなった。現在約700戸空いているが、近隣の大東文化大が100戸借上げ、学生を入居させ るとともにポイント制で地域活動を始めた。

《質疑応答等》
  Q:文社協の職員30名の構成は?
  A:7人は、区からの派遣。また、半数は常勤。保育士等の専門職が多い。 以上(文責:荒木)

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《各地域よりの報告》

1. 小日向プロジェクト  坂口さん 春日通りの街並みと生活環境を考える会
先回報告をした事と全く変わっていない。昨年11月末にC地区(25階)の業者が鹿島建設に決定したので説明会を開き説明を
始めようとしたので、全員席をたって帰りその会は流れた。その後東急からは何もいってこない。

2. 湯立坂脇マンション問題  並木さん 社史(とし)を育む会・湯立坂
16階を14階といってきている。銅御殿に対する風害の問題、景観の問題がある。4月10日強行着工ではないかと思っている。

3. 関口の目白坂計画について    古田さん 関口2・3丁目地域の環境を守る会
寺社があるので緑が守られている と安心していたところいつの間にかマンション建設が計画され、全体の説明会を求めているのに、
個々に交渉をして地区の住民を分断して着々と進めている様子。区内の紛争地域が連帯して出来る事はないのだろうかと思う。

4. 春日・後楽園駅前地区再開発について  藤原さん 文京区の環境を守る会
計画説明会が3回行われ、今現在は縦覧期間になっている。縦覧場所が都市計画部だけなので(図書館などでは見られない)意見だ
けでも出していただきたい。賛成という地権者の意見も沢山でている。再開発としては脱法に近いものがあるのではと思う。平成3年
にシビックセンターが建てられた時に、文化庁と東京都の景観審議会からクレームがついている。
本日TBSの「噂の東京マガジン」の取材を受けた。放映は4月19日(日)の1時から。
3箇所(浅草浅草寺と原宿団地の建替えと春日の再開発)

5. 新大塚公園が守られた替わりに出てきた問題  小川さん 新大塚公園を守る会
新大塚公園は守られたが、隣の教育センターは壊され、5中と7中の統合校を建築中。そこで教育センターをどこに造るかという話に
なり文京区は5中の跡に教育センターと福祉センターを建てる事を考え、その協議会に小川小日向町会長が選ばれた。初めて会合に出
た時しめされたのが、このセンターの候補地3箇所、(5中跡地、保健所の跡地、東京都所有の茗荷谷の女子アパート跡地)だった。

3. 関口の目白坂計画について    古田さん 関口2・3丁目地域の環境を守る会
寺社があるので緑が守られている と安心していたところ いつの間にかマンション建設が計画され、全体の説明会を求めているのに、
個々に交渉をして地区の住民を分断して着々とすすめている様子。区内の紛争地域が連帯して出来る事は無いのだろうかと思う。(文責:若月)