「東京の街路樹(その1)」 (大部分の画像は、クリックすると大きくなります。)

アオギリ(phoenix-tree又はchinese parasoltree/Firmiana platanifolia又はFirmiana simplex)

港区北青山(地下鉄外苑前付近)にて。 「アオギリ」は暖地に自生する中国南部原産の落葉高木で、樹皮が緑色で葉の形がキ リ(桐)に似ている ことからアオギリ(青桐)と名付けられたようである。しかし、和名からの連想と異 なり、「アオギリ」は、 材がタンスや下駄に用いられる「キリ(こまのはぐさ科、キリ属)」とは全く別種 で、(アオギリ科、アオギリ属 )の落葉高木であるが、「キリ」と名のつく街路樹*の内では圧倒的に多い。 都内でも5000本以上が植えられている。秋には、直径1cm程の種子がむき出しで ぶら下がるが、この種子は タンパク質や脂肪を多く含み、食用となる。またコーヒーの代用にもなるようだ。因 みに、種子がチョコレート の原料となるカカオ(Theobroma cacao)やコーラの原料となるコラノキ (cola nitida)も同じアオギリ科に属する。 「桐一葉落ちて天下の秋を知る」の桐もアオギリらしいとのことである。     * 少数ではあるが、赤い実のきれいな「イイギリ(写真下)」などもある。

千代田 区九段下(靖国通りにて)

目次に戻る


アキニレ(Chinese elm/Ulmus parvifolia)

板橋区西台(城山通り)にて。 同じニレ科ニレ属のハルニレが北海道などの寒地に多く見られるのに対し、アキニレは本州中部以西の 暖地に育つ樹であり、葉は小 型で鋸歯がある。 文字通り、初秋に花と実を付けるのでアキニレと名付けられた。落葉高木と分類され ているが、元来、 ハルニレのような大木になる樹ではなく、街路樹としての歴史も浅いせいか都内では 見事な並木といえる ものはなさそうである。

目次に戻る


イチイ(Japanese yew/Taxus cuspidata
  

中央区銀座五丁目(銀座通り)にて。 イチイ科イチイ属の常緑針葉高木。日本では北海道から九州にかけて山地(特に東北から北海道までの寒冷地帯)に自生する。 植物観察ツアーで出かけたシベリアのペトロワ島でも群生が見られた。 庭木としては一般的で沖縄を除いた日本全国で見られる。 イチイは、「一位」の音読みで、材から高官が用いる 笏(シャク)を作ったことに由来すると言われている。 銀座通りは、数十年前の大改修の際に街路樹の柳を伐採し、低木のシャリンバイが植えられたが、 数年前(2004年頃)現在のイチイに植え替えられた。年末には、電飾が施され、銀座の夜を飾っている。 なお、庭木などとして広く用いられている低木のキャラボク(Taxus cuspidata var. nana)は、イチイの変異種である。

目次に戻る


イチョウ(ginkgo, maidenhair tree/Ginkgo biloba)

港区神宮外苑(青山通りから絵画館へ)にて。 イチョウ科イチョウ属の落葉高木。  イチョウは「東京都の木」であり、植樹本数も第一位である。この神宮外苑のイチョ ウ並木は、 苗木の段階から樹形の良いものを選定し、その後も適切な剪定を施して現在のような 見事な樹形 に仕上げたとのことである。本数は、150本足らずであるが、歩道の両サイド、合 計4列の巨 木(樹齢約90年)の並木は、都内一番の景観となっている。湯島のイチョウ並木も なかなか重量感があり立派である。一方、皇居前の 日比谷通りのイチョウ(写真、上右)は、枝を張っても障害になることは無いと思わ れるにもかかわらず、いつも厳しく剪定され、 電柱のように殺風景である。なお、イチョウは、東京の他大阪、神奈川でも県木に指 定されている。

文京区湯島一丁目(お茶の水聖橋付近)

 
   目次に戻る


ウバメガシ (ubame oak/Quercus phillyraeoides)

新宿区市ヶ谷柳町交差点付近(大久保通り)にて。   ブナ科コナラ属の暖地性の常緑樹であり、良く分枝するので生け垣として多く用いられ、 街路樹として はあまりポピュラーではない。 。有名な備長炭(びんちょうたん)は、ウバメガシから作る。市ヶ谷柳町(旧牛込柳 町)の並木 は、公害に強いということで選ばれたようである。西洋風に丸く刈り上げているのが 面白い。 剪定に強いので、公園などで動物の形などに剪定されているものを良く見かける。

 目次に戻る


ウメ(Japanese apricot / Prunus mume)

青梅市梅郷(JR奥多摩線「日向和田」駅から「吉野梅郷」に至る道路)にて。
ばら科サクラ属の落葉(小)高木。中国から日本にウメが渡来したのは、万葉時代のようだが、江戸時代から明治時代 にかけては、ムメと呼ばれていたらしい。学名の種小名のmumeは、これに由来する。ウメは、花の色によって「白梅」と 「紅梅」に分けたり、実をとり食用や薬用(胃腸薬等として用いられる「梅肉エキス」など)に供するものを「実梅」、 花の観賞用のものを「花梅」に分けたりするが、園芸ではさらに野梅系、紅梅系、豊後系に大別され、それぞれ多くの品種 が生まれている。青梅市の「吉野梅郷」は、25,000本の紅白の梅が植えられている関東一の梅の里である。

 目次に戻る


エゴノキ(Japanese snowbell/Styrax japonicus

新宿区西新宿一丁目 工学院大学前。  エゴノキ科エゴノキ属の落葉小高木でチシャ ノキ等の 別名を持ち、日本全土の雑木林に自生する。 俗名(英)及び学名からも明らかな様に 日本原産の木であり、庭園樹としても広く用 いられる。 和名は果実に魚毒作用を持つ サポニン(朝鮮人参や大豆中にも含まれる)と呼ばれる 成分が含まれており, かじるとエグ味があることに由来するようだが、横に張り出した枝にベル状の白い可 憐な花が多数ぶら下がる様は、 英名の”snowbell”の方がピッタリである。目黒の「自然教育園」に 見事な樹があっ たことを想い出した。 なお、材は、彫刻・器具・床柱・玩具・薪炭材 として用いられ、果実は主として薬用 (生薬)であるが、昔は洗剤(自然石けん) としても利用されたとのことである。

 目次に戻る


エンジュ(Japanese pagoda tree or Chinese scholar tree/Sophora japonica )

港区芝公園付近(日比谷通り)にて。  マメ科クララ属の落葉高木。エンジュには学名、 普通名とも「日本の」という名がついているが、中国原産の木である。古来よ り街路樹や庭木として植えられている。 7〜8月に蝶形の白い花が多数咲く。また、マメ科であるため、肉質で数珠状にくびれた 果実が垂れて付く。花期が異なる他は、ニセアカシアに良く似ている。なお、漢方で は、つぼみは止血薬に、 果実は痔の薬に用いられる。また、つぼみ(黄色)や樹皮(栗色)は染料としても用 いることが出来る。

目次に戻る


オリーブ(olive/Olea europaea)
港区芝浦三丁目付近にて

モクセイ科オリーブ属の常緑小高木。オリーブ は、シリアとトルコに野生していたものが紀元前3000年頃に栽培される ようになり、西方へ移出されたという説が有力である。今日でもオリーブは、地中海 地域の独占的な産物となっており、スペイン、イタリア、 ギリシャの3国で世界の生産量の70%以上を生産している。日本にオリーブが入っ たのは、幕末の1863年が最初であるが、これは 生育せず、1874年の和歌山、1908年の小豆島のものが導入に成功した。 街路樹としてのオリーブは、小豆島は別として、あまり多くはないようである。写真 の田町の街路樹は、小豆島の私営「オリーブ園」から 譲渡されたものだそうだが、数も50本程度あり、実も良くついている。オリーブの 実はピクルスとして食用にも供されるが、フランス、 スペインでは緑色のものを漬け、アメリカ、イタリアでは紫黒色になったものを漬け るのが普通のようである。 オリーブは、香川の県木になっている。なお、オリーブについては、香川県農業試験場小豆分場の 「オリーブのい ろいろ」が詳しい。

目次に戻る


カクレミノ( kakuremino/Dendropanax trifidus
  

千代田区猿楽町2丁目(猿楽通り)にて。
ウコギ科カクレミノ属の常緑小高木。日本原産。葉は革質で光沢を持ち、枝先に集まって茂る。「葉が大きく、密生するので蓑のように 体を隠すことができる」と言うことから、名付けられたものと思われる。カクレミノの特徴は、葉の形状が大きく変化することで、 通常は写真のように3裂していることが多いが、樹齢、日照条件などによって5裂したり、切れ込みの無い楕円形(広卵形) になったりする。葉や樹形がきれいで、日陰でもよく育つため、庭園木などとして広く用いられているが、 街路樹として用いられるのは珍しい。写真の猿楽通りは、坂ノ下にあり、日当たりが余り良くないので陰樹のカクレミノが 選ばれたのであろうか。

目次に戻る



カツラ(katsura tree/Cercidiphyllum japonicum)

千代田区大手町にてカツラ科カツラ属の高さ30m、直径2mにもなる落葉高木であり、北海道から鹿 児島県北までの山地渓流沿いに広く自生している。 街路樹としては、あまりポピュラーではない。丸く対生の葉が特徴的。桂材は、その 堅さをかわれて安価な碁盤に 用いられる。
   目次に戻る


カリン(Chinese quince/Pseudocydonia sinensis
 

港区西麻布一丁目(米軍施設前)にて。 バラ科ボケ属の落葉高木で、原産地は中国。カリンは庭木や盆栽として広く栽植されているが、 少数ながら街路樹としても用いられている。ピンクの花は可憐であるが、小さく(直径3cm 位)目立たない。 黄色の果実は10〜15cmにもなり、数も多いが、堅くて酸味や渋みが強いため、生食には適せず、煮て砂糖漬けにして食用に供したり、 果実酒用として利用する。また、薄切りにして陰干ししたものは、「咳止め」等として用いられる。また、この果実は、 芳香を発するため、古来室内において姿と香を楽しまれて来たようである。欧米でも、食用には供しないが、 やはり皿に盛り芳香を楽しんでいるようである。一方、樹皮は緑がかった褐色で、老木になると写真(小石川植物園にて) のようにうろこ状にはがれ、まだらになる。カリンの材は、辺材が淡赤色で心材は暗紅褐色をしていて、 非常に堅硬緻密でしかも色調光沢ともに美しいので床柱、家具、杖、彫刻材料などに用いられているようだ。 なお、カリンの街路樹は、東武線竹ノ塚駅東口の商店街にもあり、ここは、「カリン・ロード」と名付けられている。
 

目次に戻る


キンモクセイ(Fragrant olive/(Osmanthus fragrans))

文京区後楽一丁目、「小石川後楽園」入口付近にて。 モクセイ科モクセイ属の常緑中高木。低い位置から枝分れして丸い樹形になる。原産地は中国南部。漢字で金木犀と書くが、 中国名は丹桂(別名:桂花)。 キンモクセイは、銀木犀の変種で雌雄異株、日本には雄株しか渡来(江戸時代)していないので 果実は見られないが、英名(Fragrant olive)にみられるように、雌株にはオリーブに似た黒紫色の実がなるようである。 花期が短いのが欠点ではあるが、γ-デカラクトンを香気成分とする際立った芳香が好まれ、庭木や生垣に広く用いられている。 γ-デカラクトンには、防虫効果もあるとのことである。 写真の小石川後楽園前の道路では、キンモクセイとトウカエデが交互に植えられている。
 

目次に戻る


クスノキ(camphor tree/Cinnamomum camphora)

千代田区霞ヶ関桜田通り(警視庁前)にて。  クスノキ科クスノキ属の常緑高木。クスノキは、冬も明るさを失わない常緑樹 で形も良 いため、かなり多く植えられている。七色に輝く4月の新緑の季節が最もが素晴らし い。英名は、 葉や小枝から樟脳が抽出されることに由来。この桜田通りの並木は、公道に面した警 視庁の植木 というべきかもしれないが、巨木を九州から移植したもので大変立派である。街路樹 ではないが、 東大安田講堂前や文京区の旧「楠亭」など都内にもクスノキの巨木は 多くある。なお、新聞情報(1998.12.16 読売)によるとバイオ技術使って「NOx分解 強化クスノキ」というものが開発されたそうで、 普通のクスノキより30% NOx吸収性能が高いとのことである。なお、クスノキは、 兵庫、佐賀、鹿児島、及び熊本の県木となっている。

   目次に戻る


クロガネモチ(lords holly/Ilex rotunda)

羽村市五ノ神(JR羽村駅付近)。 モチノキ科モチノキ属の常緑高木。 原産地は、 関東以西の本州、四国、九州、沖縄に分布。樹皮は灰白色で滑らか。 クロガネモチは、樹形も良く、モクセイ、モッコクと並んで庭木三名木とも呼ばれることもある。 和名は、樹皮をはいで鳥もちを作ったためにことによるモチと、濃緑の葉、緑紫色の葉柄から連想される黒鉄(クロガネ) に由来するといわれている。秋になると小さな赤い実がたわわに実る。

目次に戻る


クワ(white mulberry/Morus alba


八王子市 桑並木通り(JR八王子駅北口、甲州街道と甲州街道バイパスの間)にて

中国原産のクワ科クワ属の落葉高木。クワは、国内で絹織物生産が盛であった戦前には、カイコの飼料として日本でも広く 栽培されてきたが、この場合は欧米におけるブドウ同様、採取作業を容易にするため、低木に切り詰めるのが普通である。 本来の姿で街路樹として利用されているのは, 日本では非常に珍しい。世界的には、中央アジアでは街路樹として広く 利用されているようである。アテネ市内では主要な街路樹の一つとなっているのを見かけた。 ローマ市内にも植えられているとのことである。 八王子界隈は、遠く奈良時代、平安時代からこの地の原野に自生していた桑を利用して養蚕が行われ、桑都(そうと)と呼ばれていた。 江戸中期あたりから本格的な絹織物の生産が始まり、全国にその名が知られるようになった。この桑並木通りのクワは、S 30 年に片倉蚕糸試験所の寄贈により、植樹されたとのことである。

    目次に戻る


ケヤキ(zelkova/Zelkova serrata)

渋谷区原宿駅付近(表参道)にて。ニレ科ケヤキ属の落葉高木。ケヤキは、末広がりの美しい樹形が特徴的であり、東京 以外でも 街路樹や大学構内の並木などとして広く採用されている。 この表参道の並木は、冬季の電燭が見事であったが、1999年に中止となったの は、残念である。 小平駅前から霊園にかけてのケヤキ並木は、さらに巨木で迫力がある。 東京ドーム横のライトアップしたケヤキも大木ではな いが、幻想的で美しい。 ケヤキは、埼玉、福島、宮城の県木になっている。なお、「東京の木」の選定の際 に、イチョウに 破れ惜しくも2位になったとのことである(3位は、ソメイヨシノ)。


ゲッケイジュ(Bay laurel/Laurus nobilis

JR新宿駅東口(さくらや新宿東口駅前店付近) クスノキ科ゲッケイジュ属の常緑高木。古代ギリシャやローマでは、ゲッケイジュ(月桂樹)の小枝や葉で編んだ冠(月桂冠)を凱旋将軍や競技の勝者に贈った ことが良く知られているが、これはゲッケイジュが常緑で、 葉に芳香を持つシネオールを多量に含むことなどによるものといわれている。 学名もこれに由来して、「高貴な緑」と付けられている。ゲッケイジュの葉を乾燥したものは、ローレル等と呼ばれ、香味料としてひろく料理に用いられる。 ヨーロッパでは、果実も薬用として使用されているようである。なお、英名の Bay Laurelは、True Laurel、Sweet Bay、Laurel Tree、Bay Treeなどとも呼ばれている ようである。都が発行している街路樹マップ「道路のみどり」によってJR新宿駅東口の一角(さくらや新宿東口駅前店付近)にゲッケイジュの街路樹が植えられている ことを知り、出かけてみた。確かにあることはあったが、本数が少なく間隔もあいているので、少々がっかりした。

    

目次に戻る


コブシ(kobus magnolia/Magnolia kobus
江戸川区一之江にて。  モクレン科モクレン属の落葉高木。サクラより若干早く、葉に先だって「ハクモク レン」とほぼ同時期 に大型(5から10cm)の白い花を咲かせるので、良く目立つ。和名の由来には諸説が あるが、蕾(或いは実)が拳の形に 似ているところから付けられたとする説が有力。コブシは実がピリ辛いので「辛夷」と表記さ れることもある。 植樹本数は意外に多く、都心部の銀座みゆき通りにも植えられていたが、最近(2009年9月)ここを通ったところ、なぜか全てがヒトツバタゴに植え替えられていた。 第1勧銀本店玄関脇には、可成りの大木がある。1992年から順位を6つ上げ11位にな った。
    目次に戻る


ソメイヨシノ(cherry tree/Prunus yedoensis)

文京区小石川四丁目(播磨坂桜並木)にて。バラ科サクラ属の落葉高木。 130本ほどしかないが文京区自慢の桜並木で、中央分離帯を含 めて3列あるためなかなか見事である。4月上旬の”桜まつり”期間中には、歩行者 天国の日もあり、 屋台やブラスバンドが出たりしてすこぶるにぎやかである。街路樹として用いられる のは ソメイヨシノ及び 八重のサトザクラが圧倒的に多いが、広島市立大学で編集した 「桜の データベース」 によると、国内で220種もあるようだ。

千代田区四谷付近にて。 この八重桜(サトザクラ/Lannesiana)は、ソメイ ヨシノより1〜2週間 遅れて咲くが、色も濃いものが多く葉の緑との対比が美しい。
街路樹としては、ソメイヨシノが圧倒的に多いが、 赤坂見附付近には、サトザクラが多く植えられている。このほか、数は少ないが、シダレザクラ(渋谷区広尾-明治通り等)、 オオシマザクラ(江戸川区清新町等)も植えられている。珍しいものでは、匂い桜の代表的品種である スルガダイニオイ(駿河台匂)の街路樹(千代田区駿河台三丁目-駿河台道灌道)もある。

(ソメイヨシノ) (サトザクラ)

目次に戻る