(3)日伊声楽コンコルソ

読売新聞社と日伊音楽協会が主催するイタリアオペラのアリアとイタリア歌曲のみを課題曲とするこのコンクールは、オペラ歌手の登竜門の一つとして伝統を持っており、 今年、第38回を迎えた。過去に、松本美和子、林康子、市原多朗等第一線の歌手がこのコンクールの優勝をきっかけに世界へと羽ばたいている。 佐藤美枝子も日本音楽コンクールやチャイコフスキーコンクールで優勝する数年前にこのコンクールで2位を受賞している。
公開されているこのコンクールを傍聴するのは始めてであったが、時間があったので、今回(2002年6〜7月)は一次予選から本選までの全てを聴いてみた。 今年のエントリーは、テノール23名、バリトン(バス)17名、ソプラノ93名、メゾソプラノ(アルト)7名の合計140名であった。男性の比率は、 30%弱で上記の2つのコンクールよりはかなり高かった。
なお、一次予選の課題曲(各人1曲)として選ばれたオペラアリアを作曲者別にみると、やはりヴェルディが圧倒的に多く(51人)、 次いでドニゼッティ(25人)、プッチーニ(18人)、ベッリーニ(14人)、ロッシーニ(11人)の順であった。変わったところでは、ヘンデル及び モーツァルトを選んだ人が1人ずついた。 2次予選(6月25日)には、21名(S:13名、M:3名、T:3名、B:3名)が進んだ。2〜3人を除いて個人的な予想ともほぼ一致して、順当に実力者が、 予選を突破した。なお、二次予選の課題曲は、「イタリア・オペラのアリア1曲、イタリア歌曲1曲」であったが、アリアはやはりヴェルディが圧倒的に多く(9人) 次いでドニゼッティ、プッチーニ(各3人)、ロッシーニ、ベッリーニ(各2人)の順であった。一方、歌曲は、少々以外であったが、レスピーギが最も多く(6人)、次いでマスカーニ、ロッシーニ(各3人)、 レオンカヴァッロ、ドニゼッティ(各2人)であった。また、レスピーギの6人中5人(S:2、M:1、B:2)が「霧」を歌った。 本選(7月7日)には、11人(S:6,M:1、T:2、B:2)が残り、各々3曲歌い、審査の結果、1〜3位の入賞者と8人の入選者が決定した。予選、本選 を通して安定した歌唱力を示し、入賞候補だと思った野田浩子は1位になったが、2位及び3位については、素人予想は完全にはずれ、それぞれ佐藤康子、中島郁子が入った。 一方、上から下まで艶のある強靭な美声を響かせ、是非オペラの舞台で聴いてみたいと思った上田悦子が、入賞を逸したのは残念であった。(2002.7.13)

追記 I:第39回(2003年)コンコルソ
今年の予選出場者は、127人(S:73, Ms:10, T:23, B&Bs:21)であったが、二次予選が海外旅行中に実施されたため、第一次予選の2/3と本選しか聴くことが 出来なかった。 本選の結果、入賞者は第一位:小野和歌子(Ms)、第二位:馬場崇(T)、第三位:光岡暁恵(S)、入選が大山亜紀子(S)、鈴木彩(S)、石田綾子(S)、 平川千志保(S)、上江隼人(B)、藤田幸士(B)の6人となった。一位入賞の小野は、一次予選、本選ともロッシーニの難しいアリアを歌ったが、 いずれも大変見事な歌唱であった。彼女は、本年10月末の「世界オペラ歌唱コンクール」の日本代表(2名)にもなっているので、ここでも頑張って欲しい。 第二位の馬場は、なかなかの美声の持主であり、オペラ舞台での活躍に期待したい。ソプラノ6人の中では、個人的には、本選ではじめて聴いた平川が総合的に 一番将来性があると思ったが、些細なミスのためか入選に留まったのは残念であった。また、大山の声の迫力も印象的であった。(2003.7.9)

  追記 U:第40回(2004年)コンコルソ
今回の一次予選(2004.6.19-21、イイノホール)参加者は、合計120名(B:20, M:10, T:20, S:70)であり、19名(B:3, M:1, T:5, S:10)が 二次予選(2004.6.23、イイノホール)に、さらに本選(2004.7.4、東京文化会館小ホール)には、8名(B:1, M:1, T:2, S:4)が進んだ。 今年は、一次予選の一部(S全員)、二次予選及び本選を聴いたが、昨年、東京シティオペラ協会公演で「道化師」のネッダを好演したI(S), 他の有力コンクールで優勝したK(T)、M(Br)が本選に残れなかったのは、予想外であり、残念でもあった。しかし、何年か前、
「オペラサロン・トナカイ」 で熱唱する彼を初めて聴いて以来、大成を期待し、個人的には本命視していた村上敏明(T)が、期待に応え1位入賞を勝ち取ったのは、大変うれしかった。 今後の国内外での大活躍を期待したい。 なお、二次予選の結果、入賞を予想した上江隼人(Br)は、今年も惜しくも入選どまりとなり、2位には石上朋美(S)、3位には日比野幸(S)が入った。 このほか、宗像成弥(T)、越野麗子(S)、小林由香(MS)及び本松三和(S)が「入選」となった。(2004.7.5)

追記 V:第41回(2005年)コンコルソ
今年は、個人的な都合で残念ながら7月3日(日)の本選しか聴くことができなかった。一次予選出場者は、106名(S:65、MS:6、T:17、B/Bs:18)とのことで あったが、6月18日の二次予選を経た本選出場者は例年になく男性が多く6名、女性が5名であった。本選でも男声陣が優勢で、入賞を独占するのではないかと 予想したが、結果は、第一位に羽渕浩樹(Br)、第二位に清水理恵(S),第三位に小原啓楼(T)が入り、江口順子(S)、丹藤亜希子(S)、泉貴子(S)、宗像成哉(T)、 藤岡弦太(Br)、志田雄啓(T)、中井稔恵(S)、及び村松英行(Br)の8人が、「入選」となった。羽渕はすでに新国立劇場(小劇場)主催公演の「なりゆき泥棒」、 「シャーロック・ホームズの事件簿・告白」でもその強靭な声を活かして好演している実力者である。小原は、低音部の響が多少弱いようにも思えたが、 歌唱力抜群であり、あわせて歌曲賞も受賞した。藤岡、志田、松村も豊かな美声の持ち主であり捲土重来を期したい。(2005.7.4)

追記 W:第42回(2006年)コンコルソ
久しぶりに一次予選(6月6日〜8日)及び二次予選(6月17日)を全部聴いた。一次予選出場者は、 合計115名(S:73、MS:26、T:23、Br/Bs:13)であった。テノールが予想外に多かったが、レヴェルの バラツキも大きかったのに対し、バス/バリトンの出場者は少なかったが、平均的なレヴェルは高かった。 審査の結果、20人(S:7、T:8、B:4)が二次予選に進んだ。なお、「シャモニーのリンダ」のアリアを 歌った超美声のソプラノK及び「道化師」のアリアを歌った強靭な美声を持つバリトンTなどの逸材が 一次予選で消えてしまったのは、予想外であり、残念でもあった。二次予選の結果、10名(S:5、T:3、 B:2)が本選(7月9日)に進んだ。実力伯仲であったが、2〜3人を除いてほぼ予想に近い審査結果で あった。個人的な都合で、残念ながら本選(7月9日)を聴くことができなかったが、審査の結果、 第1位:須藤慎吾(Br)、第2位:新垣有希子(S)、第3位:大塚博章(Bs)が入り、海野智美(S)、角南有紀(S)、 森美代子(S)、吉村美樹(S)、安保克則(T)、大澤一彰(T)、与儀巧(T)の7名が「入選」となった。(2006.7.10記)

追記 X:第43回(2007年)コンコルソ
今年、予選の会場が、従来の都心の「イイノホール」から臨海副都心の「東京国際交流館会議場」に移ったため、アクセスが不便になってしまった が、やはりこのコンクールはオペラ歌手の最大の登竜門のひとつであり強い関心があったので、出かけた。今回は、一次予選(6月/5,6,7日)の60%弱、 2次予選(6月/16日)及び本選(7月/8日)を聴いた。1次予選出場(予定)者は、例年並みの112名(S:66, Ms:11, T:22, Br:8, Bs:5)であった。この内2次予選には、 20名(S:9, M:1, T:4, Br:4, Bs:2)が進んだ。さらに、本選には、10名(S:7, T:2, Bs:1)が進んだ。個人的には、ソプラノを2-3 名減らして、 その分T、Br、Bs を入れたかった。本選は、実質的には入賞の3人を含む5〜6名の接戦のように思われたが、結局1位:廣田美穂(S)、2位:平川 千志保(S)、3位:江口順子(S)、入選:本松三和(S)、伊藤真友美(S)、三村卓也(T)、納富景子(S)、角南有紀(S)、西岡慎介(T)、及び金子宏(Bs) の7名となった。なお、歌曲賞は、納富景子が獲得した。2位の平川は、天与の美声と素晴らしい歌唱力を持ち、他のコンクールの場合も含めて、 いつも入賞を期待していたが、今回やっと大きな勲章を手に入れた。今後、オペラの舞台でのいっそうの活躍を期待したい。(2007.7.8記)

追記 Y:第44回(2008年)コンコルソ
今回も1次予選(6月/6〜8日)の約60%、2次予選(6月/14日)及び本選(7月/6日)を聴いた。1次予選申込者は、例年より少し少ない107名 (S: 67、Ms: 4、T: 19、Br・ Bs: 17)であった。この内2次予選には、 20名(S:12、T:4、 Br: 3、 Bs:1)が進んだ。さらに、本選には、 11名(S:9、 T:2)が進ん だ。1次予選には、国内の主要声楽コンクールの優勝者2名を含め、入選以上の実力者が十数名も出場しており、 例年通りなかなかの激戦であった。1次予選では、1〜2の例外を除いて、ほぼ予想通りの人達が2次予選に進んだ。2次予選では、選曲にも よるが1次予選とは若干異なった印象を与えた人、あるいは限界を感じさせた人もいたが、概ね、期待と予想通りの人たちが本選に進んだ。しかし、 入賞まで期待したソプラノの1人が落ち、1次予選通過も危ないと思ったソプラノ1人が本選に進んだ。本選では審査の結果、第1位:大澤一彰(T)、 第2位:岸七美子(S)、第3位:小川里美(S)、入選:谷原めぐみ(S)、森川泉(S)、李允慶(S)、正岡美津子(S)、渡邊愛美(S)、渡邊公威(T)、 小林郁絵(S)、小林沙羅(S)の8人となった。テノールの2人は、ハイC連発の「連隊の娘」からのアリアの競演となったが、やや荒削りながら強靭 な声をもつ大澤が美声で歌唱力抜群の渡邊を制した。第2位の岸は、2007年の「イタリア声楽コンコルソ」本選での名唱が印象に残っているが、 小川の第3位入賞は、正直、意外であった。森川や李が入賞を逸したのも残念であった。
なお、審査時間を利用してが行われたゲストの廣田美穂、谷友博による「特別コンサート」は、2人とも「日伊声楽コンコルソ」及び「日本音楽 コンクール」の優勝者だけに迫力満点の名唱であった。(2008.7.6記)

追記 Z:第45回(2009年)コンコルソ
1次予選(東京:6月5〜7日)の1/3 と2次予選(6月13日)を聴いた。なお、今年は、1次予選が東京と神戸に別れて実施された。 2次予選には、22名(S:12, Ms:2, T:3, Br/Bs:5)、さらに本選には、10名(S:5, Ms:2, T:1, Br:1, Bs:1)が進んだ。 今年も、2次予選出場者の半数は、他の主要声楽コンクール優勝者、入賞・入選者で占められた。本選出場者は、ソプラノの1人を除いて、ほぼ 予想通りであった。残念ながら、本選は、聴くことができなかったが、同コンクールの ホームページによると下記の通り。1位の山本耕平及び3位の富岡明子は、2次予選でも抜群に素晴らしかった。

1位及び歌曲賞: 山本 耕平 (テノール) 、2位: 金原 聡子 (ソプラノ)、3位: 富岡 明子 (メゾソプラノ)
入 選:谷原 めぐみ (S), 田中 樹里 (S)、 納富 景子 (S)、 諸田 広美 (Ms)、 大石 洋史 (Br)、 松岡 万希 (S)、 三戸 大久 (Bs)

追記 [:第46回(2010年)コンコルソ
「日伊声楽コンコルソ」は、「日本音楽コンクール」とともに最も重視している声楽コンクールであり、2002年以来欠かさず聴いてきたが、 今年は開催日時を完全に失念してしまい。本選終了後に、やっと気づいた。「後期高齢者」が間じかになった年齢のせいかも知れないが、われながら あきれてしまった。同コンクールのHPによると入賞者・入選者は、以下のとおりである。8月22日の入賞者披露演奏会には、是非出かけてみようと思っている。 1位: 岡田 昌子 (S)、2位: 今井 俊輔(Br)、3位: 三戸 大久(Bs)、歌曲賞: 岡田 昌子(S) 入選: 安保 克則(T)、伊藤 貴之(Bs)、岡坂 弘毅(T)、小林 実佐子(S)、佐藤 優子(S)、鴫原 奈美(S)、角南 有紀(S)、藤野 沙優(S)、本松 三和(S)

追記 \:第47回(2011年)コンコルソ
今年は、1次予選(5月27,28,29日)の2日間(27/28)約60名、2次予選(6月11日)及び本選(7月17日)の全てを聴いた。 1次予選には、123名(S:75, Ms:12, T:24, Br/Bs:12)がエントリーしたとのことであるが、2次予選には、24名(S:14, Ms:4, T:2, Br:3, Bs:1)、 本選には12名(S:4, Ms:2, T:2, Br:3, Bs:1)が残った。ソプラノは1次予選、2次予選とも実力伯仲で、他のコンクール入賞者の何人かは本選に 残れなかった。筆者の予想もかなり外れてしまった。2次予選に進んだ男声6人中5名は西宮での一次予選通過者であったが、全員粒ぞろいであった。 本選も激戦であったが、審査の結果、

第1位:竹多倫子(S)、2位:曽我雄一(T)、3位:高橋絵理(S)
入選:小林 実佐子、丹呉 由利子、高橋洋介、伊藤貴之、大賀真理子、清水勇磨、真塩直、藤山仁志、井上奏 となった。

個人的には、予選でも素晴らしい歌を聴かせてくれた高橋洋介の上位入賞を期待したが、入選どまりだったのは、残念であった。 2位の曽我雄一は、「ハイC」連続の難アリアを軽々と歌い切り、見事であった。 なお、審査時間を利用した恒例の特別コンサートでの 上江隼人(Br)と小野和歌子(S)の技巧的なアリアは、大変素晴らしかった。(2011.7.17 記)

追記 ]:第48回(2012年)コンコルソ
今年は、会場が都心千代田区のイタリア文化会館に移り、便利になった。 都合で、本選(7月8日)は聴けなかったが、東京一次予選(6月8,9,10日、103名)及び二次予選(6月30日、21名)のすべてを聴いた。 今年は、テノールの応募者が28名もいたが、質的にも充実していた。二次予選には、東京から17名(S:9、T:5、B:3)、大阪から4名 (S:1、Ms:1、B:2)が進んだが、ここでも男声優位であった。審査の結果、ソプラノ、テノール各3名、バリトン2名、バス1名が 本選に進んだが、個人的には、T-19 のテノールを入れて、ソプラノを1名減らしたかった。「日本音楽コンクール」2位入賞のK.Fは 選曲にも問題があったのか、予想外に本選に進めなかった。 本選を聴けなかったのは残念であったが、ほぼ予想通り、第1位(及び五十嵐喜芳賞/歌曲賞)が超弩級のテノール:宮里直樹、第2位 がこれも予選で素晴らしい歌を披露したバスの伊藤貴之となった。第3位は予選では、目立たなかった中村真紀(S)が入った。なお、 入選は、 竹下裕美 (S)、田村佳子(S)、浅原孝夫(T)、眞塩 直(T)、隠岐速人(Br)、月野 進(Br)の6人となった。(2012.7.13 記)

追記 ]I:第49回(2013年)コンコルソ
今年は、東京一次予選(6月20,21,22日)の2日間(21/22日)、2次予選(7月5日)及び本選(7月13日)を聴いた。東京1次予選には、 101名(S:56, Ms:9, T:23, Br/Bs:13)がエントリー(別途、関西予選に9名)したが、2次予選には、関西予選からの1名を加えて 22名(S:9, Ms:2, T:6, Br/Bs:5)、本選はテノール(3人)とソプラノ(5人)の対決になったが、審査の結果、一位:山口安紀子、 2位:田村佳子、3位:鈴木玲奈、入選:眞塩 直、城 宏憲、小林実佐子、松岡幸太、鈴木麻里子となり、ソプラノの完勝となった。 個人的には、見事なコロラトゥーラの技巧を披露した美声の鈴木と強靭な美声を持つ山口が1、2位を争うものと思っただけに鈴木の3位は、 少々残念であった。また、岡部多喜子賞(歌曲賞)は、山口が合わせて受賞した。なお、五十嵐喜芳賞は、該当者なしであった。(2013.7.13 記)

追記 ]U:第50回(2014年)コンコルソ
今年は、東京1次予選(6月25〜27日)の前半と2次予選(7月8日)及び本選(7月17日)を聴いた。1次予選 には、122人(S:56、Ms:11、T:32、Br/Bs:23)が出場したが、このうち2次予選には22名(S:4、Ms:2、T:7、Br:8、Bs:1) が進んだ。今年は、出場者、入賞者とも男声が大優勢であった。本選(7月17日)に進んだ10名(S:1、Ms:1、T:2、Br:6) 中の8人が男声であった。個人的には、さらにBsBrの1人を加えてほしかった。審査の結果、優勝は関西から1人出場した 笛田博昭(T)、2位:松岡幸太(T)、3位:千葉裕一(Br)となった。なお、入選は、迫田美帆(S)、岡昭浩(Br)、池内響(Br)、 清水勇磨(Br)、但馬由香(Ms)、高橋洋介(Br)及び加藤史幸(Br)の7名。他コンクールの優勝者や入賞者もいたバリトンの6人 の内ではもっとも気に入っていた池内響が最後にちょっと躓き、入賞を逸したのは残念であった。(2014.7.17 記)

追記]V:第51回(2015年)
今年は、東京一次予選(6月24,25,26日)の2日間(24/26日)、2次予選(7月8日)及び本選(7月19日)を聴いた。1次予選には、 関西予選の6名を加えて106名(S:66, Ms:4,A:1,CT:1,T:20, Br:13,Bs:1)がエントリーしたが、2次予選には、21名 (S:10, Ms:2, A:1,CT:1,T:3,Br:4)が進んだ。本選は、ソプラノ4人、メゾソプラノ1名、アルト1名、テノール3人及びバリトン1名 が競ったが、審査の結果、下記のように1位から3位までを男声が独占してしまった。筆者は、「連帯の娘」のアリアで連続ハイCを 見事に決めた山本と「椿姫」のアリアで聴衆を沸かせ、2次予選でも素晴らしかった宮澤が優勝を争うものと予想したが、半分外 れてしまった。

第1位(及び岡部多喜子賞):加藤史幸(Br)
第2位(及び五十嵐喜芳賞):山本康寛(T)
第3位:市川浩平(T)
入 選:宗心裕子(S)、澤原行正(T)、黒田詩織(S)、藤田槙葉(A)、丹呉由利子(Ms)、中井奈穂(S)、宮澤尚子(S)(2015.7.19 記)

追記]W:第52回(2016年)
 今年は、東京一次予選(6月22〜24日)の1日目及び3日目、第2次予選(7月7日)、本選(7月17日)を聴いた。 1次予選 には、118人(S:69、Ms:7、T:28、Br:9、BsBr:2、Bs:3)がエントリーしたが、このうち2次予選には23名 (S:11、Ms:1、T:5、Br:4、Bs:2) が進んだ。なお、第1日目の出場者の中では個人的に一番気に入ったソプラノ TYが予選を通過できなかったのは残念であった。第2次予選の結果、10名(S:3、Ms:1、T:3、Br:2、Bs:1)が 本選に進んだが、ここでも気に入ったテノールのAK及びバリトンのKCが予選落ちしたのは残念であった。本選では、 下記のとおりバリトンの2人が1、2位を分けた。予選・本選を通して素晴らしい歌唱を披露した2人の入賞は予想通り であったが3位の予想は外れた。今年も総じて男声陣が優勢であった。

第1位(及び岡部多喜子賞):ヴィタリ・ユシュマノフ(Br) 第2位:小林啓倫(Br) 第3位:高品綾野(S)
入 選:川上晴央(T)、仁戸部桃子(S)、但馬由香(Ms)、田中大揮(Bs)、澤原行正(T)、竹之内淳子(S)、小笠原一規(T)(2016.7.18 記)

第53回コンコルソ:
第1位:工藤和真(T)
第2位:澤崎一了(T)
第3位:内田千陽(S)

追記]W:第54回(2018年)
今年は、東京一次予選(6月13〜15日)の2日目、第2次予選(7月3日)、本選(7月16日)を聴いた。 1次予選 には、110人(S:70、Ms:9、A:1、T:18、Br:10、BsBr:1、Bs:1)がエントリーしたが、このうち2次予選には25名 (S:13、Ms:3、A:1、T:4、Br:4) が進んだ。第2次予選の結果、珍しく女声ばかり9名(S:8、Ms:1)が本選に進んだ。 個人的には、男声も1〜2名は入ってほしかった。8名が出場した7月16日の本選では、声、歌唱力共抜群で個人的には優勝を確信していた砂田愛梨 が3位にとどまり、予選ではあまり注目していなかったが声量豊かな土屋優子が第1位となった。

第1位(及び都知事賞ほか):土屋 優子(S)
第2位:竹下 みず穂(S)
第3位(及び歌曲賞):砂田 愛梨(S)
入 選:杉山 沙織(Ms)、鳥海 仁子(S)、内 夏美(S)、相樂 和子(S)、中井 奈穂(S)