陳 情 書
文京区建築審査会で 執行停止 及び 取消決定された 違法建築の
除却指導・除却命令(建築基準法9条)の要望

文京区 区 長     成澤 廣修 様
文京区区議会議長  宮崎 文雄 様

 文京区小石川 3−17−20に建設中の「(仮称)ダランエッグス小石川」(18戸長屋・実質ワンルームアパート)に関して、文京区建築審査会が、 執行停止決定を下してまで工事を中断させ、その上でさらに「違法があることは明らか」として建築確認の取消決定をし、建設の白紙撤回という 重い決断・決定をして下さいました(建築基準法6条)。
 かかる文京区建築審査会の判断を尊重し、速やかに、建築主会社に対し、除却指導をし 仮に建築主会社が 指導を無視するようでしたら除却 命令をだしてくださいますよう、要望いたします(建築基準法9条)。
 理由及び経緯は、下記のとおりです。
                   

1 文京区建築審査会が執行停止決定を下してまで工事を中断させ、建築確認の取消決定をし、建設を白紙に戻す旨の重い決断・決定をしたその 判断を尊重すべきであること(添付資料1 執行停止決定書、資料2 裁決書、資料3 補正書)。     

         理由@ 本件は、計画的組織的犯罪行為に該当する可能性が高い、悪質極まりない事案である。
       A 建築審査会での特に執行停止決定は、重い決定・決断である。
       B 審査会の判断は、明確な行政による違法判断である。
       C 行政不服審査法は「裁決は、関係行政庁を拘束する」と規定(43粂1項)。

2 建築審査会の判断は「違法が明らかであり・・その余の主張ついて検討するまでもなく」として、次の@Aの2点以外の問題点が残されたまま になっており、本件は問題点が非常に多い建築物であり、一度除却した後に再度初めから適法な手続きでやり直さなければ実際上問題点が残ったままに なること。
  
 
        問題点@ 東京都建築安全条例(崖条例の部分)違反
                         (崖の高さと同じ長さ分、崖から引っ込めて建築する原則)
        A 「一敷地一建物の原則」違反
        B 自称「ロフト」は居室であり、容積率違反 (建築審査会の検証中、自称「ロフト」にダウンライト 2カ所、コンセント1カ所が発見されている)
        C 壁量及び壁配置のバランス違反(要するにグラグラ状態)
        D 横架材間おうかざいかんの垂直距離違反(柱と柱が離れすぎでグラグラ状態)
        E 長屋ではなく「共同住宅」であり、窓先空き地などが 無い (火災・病気・怪我などの時に本件建築物の住人らの避難が困難)
        F 長屋だとしても敷地内の通路幅が不足している
        G 工事監理者が選任されないまま、確認図面と違う工事がされた  など

3 現在も 実際に近隣住民らは 危険に曝されていること

 

 
           危険@ 本件建物はグラグラ状態である(横架材間おうかざいかんの垂直距離、施行令43条1項)(資料4 建築確認藤申請書第五面)。
  約 8mの崖上ギリギリに建っているだけでなく、柱と柱の間が法定より 約 60cmも離れており、また、現に吹き抜け部分が多く、窓が多く (崖上だけでもガラス40枚・窓20カ所)で壁が少なく、グラグラ状態で あり危険きわまりない(資料5 写真・前所有者PL教団の当時、資料6 写真・がけの様子)。
    危険A 本件崖は、東京都により急傾斜地崩壊危険箇所に指定されており警告がされている (但、急傾斜地崩壊防止法の適用外)。
    危険B 文京区建築課長 長塚氏も、平成24年6月5日(火)電話で、本件崖が危険である旨の発言をしている。
    危険C 実際、木造建築物が密集する地域であり、本件木造建築物が隣地境界線に接近して建っているため、 不審火など−度火災が起きると 死者が出る可能性が極めて高く、非常に危険である。

4 本件は文京区において、もっとも悪質な事案の1つと言いうる事案であり、姉歯事件を受けて違法工事禁止をうたう 「東京都マネジメント計画」や適法な手続きを重視する建築基準法・関連法規を徹底指導すべきであること。
 本件に対し 文京区が どう対処するかにより、区の建築行政のレベルが悪い建築業者・悪い民間指定検査機関こ知れわたり、今後ますます違法建築が増加 するなど多大な悪影響が出る可能性が大きい。

 

          悪質@ 本件は建築確認が明らかに違法として取消されただけでなく、そもそも建築主は建築確認図面
                   どおりの工事をしていなかった。
    悪質A 初めから建築確認図面どおりの建築をする意図さえ無かった (添付資料7「当初計画窓です」と記載された図面(建築主会社から平成24年1月23日 付けで受領)、 資料8 平成23年10月12日付け建築確認申請図書「立面図・北側立面図」)。
    悪質B 本件は、初めから違法工事をしていた。
      (i)建築主は工事監理者なく何ヶ月も工事をし、建築確認図面と異なる工事をしてもとがめられない状態 を自ら作っていた(建築基準法施行規則1条の3、基準法施行細則5条2項、建築士法3条27「確認検査業務規程17条」 (建築基準法77条の27)(資料9「工事監理ガイドライン」)。
     *審査会への請求後やっと平成24年2月21日付けで工事監理者選任届が提出された
      (A)上記(i)工事監理者不在を隠すため、法定の「確認済み看板」を使用していなかったこと (建築基準法89条1項、基準法施行規則 11条)(資料11法定の看板「第68号様式」)。
    悪質C がけの高さを詐称し、東京都建築安全条例(がけ条例)の適用を免れようと企てた (約 8mを→21cm〜1m90cmに)(資料12の1建築確認図書「敷地現況図」、資料12の2計画概要図・配置図)。
    悪質D 本件建築主会社はデベロッパーであり、1級建築士がグループ会社が入っている 同じ建物の同じフロアーに  7人もおり、すべて計算済みで行っている(資料13 会社概要)。
    悪質E 処分庁(イーハウス建築センター)さえ、文京区の事前の崖の指摘を無視した (資料2「裁決書」の4頁こ昨年10月18日の記載、資料13 国交省ネガティプ情報)。
    悪質F 処分庁(イーハウス建築センター)の行為は、業務停止・検査機関の取消の行政処分相当の行為である (指定確認検査機関の処分基準」国住指第2945号)。
   悪質G 本件建築物の 自称「ロフト」にはダウンライト2個、コンセント1カ所が付いており(審査会の検証時に審査会委員が写実撮影) 「居室」であり、容積率計算が大きく間違っているだけでなく、増床する計画であったし、実際一部違法に増床していた。
    悪質H 本件建築物は18戸が入る集合住宅であるが、ゴミ置き場も無く、仮に旗ざお地の「さお」の部分にゴミ置き場 を作れば2m通路を確保できない為そもそも本件集合住宅を建築することができない。にも拘わらず、周辺住民 の迷惑も考えず、もともと建築計画に無理がある建築物を周辺住民に何ら挨拶・税明もなく 強引に工事をした。

5 実際に、他の区や県でも、建築主に対し除却指導をし建築主が自ら建物を除却していること。   

      (例)東京都中野区上鷺宮1丁目4  マンション9階建て(17中建審・請第4号審査請求事件)

       神奈川県横須賀市湘南鷹取2丁目 がけ地 (横浜地方裁判所平成15年(行ウ)第39号)など

     * 東京都新宿区下落合「たぬきの森j事件では、新宿区が建築主に除却させない為、むしろ除却命令の 義務付け訴訟に発展した(東京地方裁判所平成22年(行ウ)第613号)。
     * 除却の行政代執行をした例          京都市、大阪市、岡山市など  (参考文献「行政代執行の実務〜岡山市違法建築物除却事例から学ぶ〜」)

5 仮に本件建築物を除却しないとすれば、近隣住民の再度の建築審査会に対する建築確認処分の取消請求及び執行停止請求の手続きが実質的 に奪われてしまうこと(近隣住民の手続保障)。

6 文京区民である近隣住民が何十年も維持してきた安心安全な生活を犠牲にさせて、デベロッパーである建築主会社の金銭的利益を 擁護する必要性はまったくないこと。   

         本件土地は、そもそも東京都建築安全条例(崖条例)の制約があり、また実質的に旗竿地であり、
            しかも崖に関しては東京都の急傾斜地崩壊危険箇所に指定されている安価な土地である。
       それを、誰にも気づかれなければと目論んで、敷地めいいっぱいに違法に建築しているのである。

7 建築主会社は、初めから違法建築であることは分かっており、自ら工事を進めたこと。
 工事が完成すれば、建築主自身は建築審査会の取消決定を免れることができ、その代わり、処分庁が近隣住民から国家賠償請求を受ける構造に変化する。
 即ち、あわよくば違法建築の後始末を処分庁に押しつけ、自分だけ逃れるつもりで、工事を進めたのである。
 文京区が、かかる「ずるい」建築主会社に加担する必要性はまったくない。

   
     理  由@ 通常、建築審査会への審査請求がなされれば、良心的な建築主会社なら 自ら工事を中断するのであるが、
         むしろ朝8時前から夜 遅い時は9時すぎまでドンドン工事を進めていた。
    理 由A 建築主会社は、本件土地を購入する前から、崖が東京都建築安全条例(崖条例)の適用があり、 崖の高さ分引っ込めて建てなければならないことを知っていた。
           (i)建築主会社は崖の高低値の記載ある測量図を仲介不動産会社・光丘こうきゆうから受領していた (資料12の1 建築確認図書「敷地現況図」の元となる平成23年7月25日付の測量図)
           (A)仲介不動産会社の重要事項説明書に東京都建築安全条例(がけ条例)の適用ある旨の記載があった
   理 由B 事前に、近隣に対して工事の挨拶も説明もせず、誰にも分からないように工事を進めていた。
      理 由C そもそも法定でない「確認済み看板」を使い、かかる看板を人目に付かない公道から約20mも奥まった券所に掲示していた (資料10建築主の「確認済み看板」、資料11 法定の「確認済み看板)。
   理 由D 報告義務を負う工事監理者を選任しないまま、確認図面と異なる工事をした(「当初計画」どおりの工事をした)。
    理 由E 審査会請求後も、朝から夜までドンドン工事を進めていた。

8 建築主会社は、建築課長 中島課長時代(平成24年3月まで)の文京区の指導を無視してきたこと
   
        <建築主会社が無視した文京区の指導>
       @平成23年8月29日、文京区建築課の「一敷地一建物の原則」の指導
       A平成23年12月28日、文京区指導課から「近隣と話合ってて工事を進めるよう」との指導
       B平成24年3月6日の文京区建築審査会での執行停止決定(工事禁止)が下されたにも拘わらず、次日、敷地に出入り
           *中島 前建築課長がすぐ現場に職員の方を向かわせて下さった。
       C平成24年3月12日、シマダが「崖の調査等をしたい」旨の相談をしたとき、建築課 中島課長から受けた 「近隣と話し合って進めるよう」との指導

9 本件では民間指導機関が確認処分をした建築物であるが、仮に区が本件のような悪質かつ危険な事案に対して本来あるべき指導(除却指導) が出来ないなら、「区も民間と同じ」であることをさらすことになり、今後ますます区の建築行政は民間に権限剥奪され、 建築主事までも民間委託となるような最悪の状態を区自らが招くおそれが大きいこと

10 文京区建築課の職員のアドバイス・・・・・により、建築審査会への請求が遅くなったこと

   

        平成24年1月19日、近隣住民らが、建築課の職員(検査員を名乗る男性)に本件に関する建築審査会への審査請求を相談
      したところ、「区なんていい加減なところに来ないで、裁判所に行った方がいい。」と言われ、裁判所への提訴後に建築
      審査会に審査請求をした。
       あの時すぐに建築審査会へ審査請求していたら、もっと早く工事を止めることが出来た可能性が高い。
      実際、建築審査会へ審査請求したのは 2月13日付けである。

11 現建築課長 長塚氏は、建築課長・建築主事としての資質が疑わしいこと
            * 必要があれば、詳細について提出いたします。

<添 付 資 料>

 
     資料1         執行停止決定書(23文建審査・請第3号事件)

    資料2     裁決書(23文建審・請第3号事件)

    資料3     補正書(平成24年2月28日付け)
 
    資料4     建築申請書 第五面 「【4.横架材間の垂直距離】3.745m」と記載がある

    資料5     写真・前所有者 PL教団当時(平成23年9月まで所有)

    資料6     写真・がけの様子(平成24年1月21日撮影)

    資料7    「当初計画窓です」と記載された図面 (建築主会社から平成24年1月23日付けで受領)

    資料8    「立面図・北側立面図」(平成23年10月12日付け 建築確認申請図書)

        資料9       工事監理ガイドライン
 
        資料10の1   建築主が設置した「確認済み看板(甲1の79)
    
        資料10の2   資料6の設置場所(甲1の80)

        資料11    法定の「確認済み看板」(第68号様式)(甲1の81)

        資料12の1   敷地現況図(建築確認図書)、

        資料12の2   配置図(計画概要事)

        資料13    会社概要(シマダアセットパートナーズ(株))

        資料14    国土交通省 ネガティプ情報
以 上
平成24年6月29日
                                             文京区    ■■■■■   ■■■■
               
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【別 紙】

物 件 目 録

                                     
                所 在 地  : 文京区小石川 3−17−20 (住居表示)「(仮称)グランエッグズ小石川」

        構  造 : 木 造
             
                用  途  : 18戸長屋・(実質ワンルームアパート)
             
                建 築 主  : シマダアセットパートナーズ株式会社(デベロッパー)

                処 分 庁  : イーハウス建築センター株式会社 (民間指定検査機関)